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平均月商の出し方

この記事の結論
  • 平均月商の基本式は「年間売上高÷12」(マネーフォワードの解説で確認。融資審査での扱いは窓口で確認が必要)
  • 季節変動が大きい業種では、季節指数(各月の平均売上高÷全体の月平均売上高×100)を併せて出すことで、単純平均だけでは見えない繁忙期・閑散期の資金需要の差をつかめる(aonuma.netの計算式)
  • 運転資金の融資額は「月商の3か月分」が目安と民間の解説で説明されることが多いが、これは単純平均月商をベースにした目安であり、季節変動が大きい業種ではそのまま当てはめると繁忙期直前の資金需要を読み違える可能性がある(v-spirits.com・マネーフォワードケッサイの解説)
  • 日本政策金融公庫のセーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)には、最近3か月の売上高が前年同期または前々年同期より5%以上減少し、今後も減少が見込まれる場合という要件がある(日本政策金融公庫の公式ページ、2026年10月確認)
この記事の内容
  1. 結論:平均月商は「単純平均」と「季節指数」の2段階で出す
  2. なぜ「年間売上高÷12」だけでは実態とズレるのか
  3. ステップ1:平均月商の基本計算式(単純平均)
  4. ステップ2:季節変動が大きい業種は「季節指数」も出す
  5. 運転資金の目安「月商の3か月分」との関係
  6. 計算例:海沿いの土産物店を仮定した平均月商と季節指数
  7. チェックリスト:平均月商を出す前に確認する項目
  8. 実体験:EC事業の繁忙期で感じたこと
  9. 次にやること

この記事は、観光・飲食・アパレル・ギフトECなど、月によって売上が大きく上下する業種を営んでいて、融資審査や運転資金の試算で「平均月商」を求められたときに、どう計算すればよいか分からない経営者・個人事業主に向けて書いています。 結論から言うと、平均月商には「年間売上高÷12」で出す単純平均と、繁忙期・閑散期の差を数値化する「季節指数」の2段階があります。単純平均だけで運転資金を見積もると、繁忙期直前に必要な現金を過小評価してしまうことがあります。

こんな状態ではありませんか
  • 銀行や信用保証協会から「平均月商はいくらですか」と聞かれたが、自社は月によって売上が2〜3倍違うので、どの数字を答えればいいのか分からない
  • 「年間売上高÷12」で出した平均月商と、実際の繁忙期・閑散期の感覚がまったく合わない
  • 運転資金の目安が「月商の3か月分」と言われても、自社のどの月の売上を基準にすればいいのか分からない

結論:平均月商は「単純平均」と「季節指数」の2段階で出す

「月商」は「年商(1年間の売上高)÷12」で求められます(マネーフォワード「月商とは月の売上のこと!計算方法や月収との違いを解説」、2026年10月確認)。融資審査や資金繰り表で求められる「平均月商」の定義は、【各自確認:申込先の金融機関・信用保証協会が「平均月商」をどの期間・どの計算方法で見るか。窓口または申込書類の記載で確認】。ただし、月によって売上が大きく上下する業種では、この単純平均の1つの数字だけを見ていると、繁忙期に必要な仕入・人件費の先行資金や、閑散期に固定費を払い続けるための現金が、実際にはどれくらい必要なのかが見えません。そこで、単純平均に加えて「季節指数(各月の売上が年間平均の何%にあたるか)」を出し、月ごとの資金需要の差を数値で把握する、という2段階の計算が必要になります。

なぜ「年間売上高÷12」だけでは実態とズレるのか

年間売上高を12で割る単純平均は、計算としては正しい方法です(マネーフォワード「月商とは月の売上のこと!計算方法や月収との違いを解説」は、年商÷12で月商を出せると説明、2026年10月確認)。同記事は月商が参照される場面として「企業間の業績比較や取引先選定」を挙げていますが、融資審査での扱いには触れていません。しかし、この数字は「1年間の売上を均等にならしたときの仮想の月商」であって、実際にどの月にいくら売上が立ち、いくら現金が動いたかとは別物です。観光業の繁忙期(夏・年末年始)、アパレルのセール期、ギフトECの母の日・お歳暮期のように、特定の月に売上が集中する業種では、単純平均を見ているだけでは「繁忙期に仕入・人件費がどれだけ先行して出ていくか」「閑散期に固定費を払い続けられるか」という、資金繰り上いちばん知りたい情報が抜け落ちます。

ステップ1:平均月商の基本計算式(単純平均)

まず基本となる単純平均の計算式は次のとおりです。

平均月商(単純平均) = 年間売上高 ÷ 12

直近の確定申告書・決算書の年間売上高が分かれば、電卓1つで出せます。銀行・信用保証協会に「平均月商はいくらですか」と聞かれた場合、まず出せる数字はこの単純平均です【各自確認:申込先の金融機関・信用保証協会が、単純平均の月商で足りるとしているか。窓口または申込書類の記載で確認】。ただし、この数字だけを根拠に自社の資金繰りを判断すると、季節変動が大きい業種では次の項目で説明するズレが生じます。

ステップ2:季節変動が大きい業種は「季節指数」も出す

ここが要点

季節指数とは、各月の売上が年間の月平均に対して何%の水準にあるかを示す指数です。計算式は次のとおりです(aonuma.net「季節指数とは|売上変動を数値化し経営計画に活かす手法」の式。同ページは各月を3年間の平均で出す手順を示しています。ゼンドラオンラインは同じ考え方を、×100をしない比率[例:0.6657]で説明しています。2026年10月確認)。

各月の季節指数 = 各月の売上高 ÷ 年間の月平均売上高 × 100

季節指数が100を大きく上回る月は繁忙期、大きく下回る月は閑散期です。この指数を12か月分並べると、単純平均だけでは見えなかった「どの月にどれだけ資金需要が膨らむか」が数値で把握できます。複数年分のデータがある場合は、同じ月の売上高を年またぎで平均してから指数を出すと、単年の突発的な増減(大口案件・イベント出店など)に指数が引っ張られにくくなります。

運転資金の目安「月商の3か月分」との関係

運転資金の融資額は「月商の3か月分」が目安と、民間の解説では説明されています(v-spirits.com「運転資金の融資目安は月商何か月分?」は「基本は月商の3か月分が上限の目安」、マネーフォワードケッサイ「運転資金は何か月分が必要?」は「運転資金の目安は月商の3カ月分以上」とし、事業を軌道に乗せるには6カ月程度の確保が理想とも記載、2026年10月確認)。この「月商」は、解説の文脈では単純平均月商(年間売上高÷12)を指すと読めます。

季節変動が大きい業種で単純平均月商の3か月分をそのまま運転資金の目安にすると、繁忙期直前(仕入・人材確保がピークの月の1〜2か月前)に必要な現金が、この目安を上回っているケースが出てきます。季節指数で繁忙期の水準を確認し、「単純平均の3か月分」と「繁忙期の月商をベースにした必要額」の両方を並べて検討すると、資金需要の過小評価を避けやすくなります。

なお、日本政策金融公庫のセーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)のように、「最近3ヵ月の売上高が前年同期または前々年同期に比し5%以上減少しており、かつ、今後も売上減少が見込まれる方」を対象要件の1つとする制度もあります(日本政策金融公庫「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」、2026年10月確認。このほか決算期ベースの要件もあります)。融資制度ごとに「平均月商」や「売上高」の算定期間の定義が異なるため、個別の制度を利用する際は、申込先の金融機関・公庫の窓口で算定方法を確認してください。

計算例:海沿いの土産物店を仮定した平均月商と季節指数

観光地の海沿いにある土産物店(個人事業主・年間売上高4,800万円)を仮定し、月別売上高から平均月商と季節指数を計算します。

月 売上高 季節指数
1月 150万円 37.5
2月 120万円 30.0
3月 200万円 50.0
4月 350万円 87.5
5月 450万円 112.5
6月 500万円 125.0
7月 800万円 200.0
8月 900万円 225.0
9月 550万円 137.5
10月 350万円 87.5
11月 250万円 62.5
12月 180万円 45.0
年間合計 4,800万円 ー

1. 単純平均月商

4,800万円 ÷ 12 = 400万円

2. 季節指数(各月の売上高 ÷ 400万円 × 100)

例えば8月は 900万円 ÷ 400万円 × 100 = 225、逆に2月は 120万円 ÷ 400万円 × 100 = 30 です。上の表のとおり、指数は月によって30〜225まで開いています。

3. 運転資金の目安との比較

単純平均月商400万円の3か月分は1,200万円です。一方、繁忙期の7・8月は月商800万〜900万円あり、この2か月の仕入・人件費が6月(季節指数125、500万円)のうちに先行して出ていくと考えると、繁忙期直前の6月時点で必要な現金は単純平均ベースの目安よりも大きくなる可能性があります。単純平均の3か月分という目安と、季節指数で確認した繁忙期直前の資金需要を、両方とも並べて検討する必要があるのはこのためです。自社の場合も、直近1〜3年分の月別売上高があれば、同じ手順(単純平均→季節指数→繁忙期直前の必要額)で試算できます。

チェックリスト:平均月商を出す前に確認する項目

□ 直近の確定申告書・決算書で、年間売上高を12で割った単純平均月商を出したか □ 直近1〜3年分の月別売上高(試算表・POSデータ・通帳の入金記録など)を集められるか □ 月別売上高から季節指数(各月の売上高÷単純平均月商×100)を12か月分計算したか □ 季節指数が120を超える月(繁忙期)と、80を下回る月(閑散期)がどこにあるかを確認したか(120・80は本記事が置いた目安の線で、公的な基準ではありません) □ 繁忙期直前の1〜2か月に、仕入・人件費などの先行支出がどれだけ増えるかを把握しているか □ 融資を申し込む制度がある場合、その制度が「平均月商」をどの期間・どの計算方法で定義しているかを窓口で確認したか

実体験:EC事業の繁忙期で感じたこと

私の場合

正直に書きます。私自身が自社の売上データから季節指数を計算し、それを資金繰りの判断に使った経験はありません。

次にやること

まず、直近1年分(できれば直近3年分)の月別売上高を並べ、単純平均月商(年間売上高÷12)と、各月の季節指数(各月の売上高÷単純平均月商×100)を出してください。 季節指数が120を超える月がある場合は、その1〜2か月前に必要になる仕入・人件費などの先行支出を洗い出し、単純平均月商の3か月分という一般的な目安と比べて過不足がないかを確認してください。先の現金残高まで見通したい場合は186の資金繰り予測シミュレーションを、現在の資金繰りに悪化のサインが出ていないか確認したい場合は188を合わせてご覧ください。


※本記事は2026年9月時点の調査に基づく情報整理です。平均月商の定義・算定期間は金融機関・融資制度ごとに異なる場合があります。個別の融資審査・資金繰り判断については、申込先の金融機関または顧問税理士にご相談ください。

出典(2026年10月18日確認) - 平均月商(単純平均)の計算式:マネーフォワード「月商とは月の売上のこと!計算方法や月収との違いを解説」 https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/75624/ (同記事に融資審査での扱いの記載はなし。2026年10月20日確認) - 季節指数の計算式:aonuma.net「季節指数とは|売上変動を数値化し経営計画に活かす手法」 https://aonuma.net/glossary/kisetsu-shisu/ 、ゼンドラオンライン「季節変動の大きいクリーニング業では【季節変動指数】が計算に欠かせません!」 https://www.zendora.jp/articles/ZEN-TAKN-13 (×100なしの比率で説明) - 運転資金の目安(月商の3か月分、民間の見解):v-spirits.com「運転資金の融資目安は月商何か月分?月商3か月が基本上限!」 https://v-spirits.com/%E5%89%B5%E6%A5%AD%E8%9E%8D%E8%B3%87/%E3%80%90%E9%81%8B%E8%BB%A2%E8%B3%87%E9%87%91%E3%81%AF%E6%9C%88%E5%95%86%E3%81%AE3%E3%83%B6%E6%9C%88%E5%88%86%E3%81%8C%E9%99%90%E5%BA%A6%E3%81%A8%E7%9F%A5%E3%82%8B%E3%80%91 、マネーフォワードケッサイ「運転資金は何か月分が必要?運転資金の目安と内訳、調達方法まで詳しく解説」 https://mfkessai.co.jp/startup-article/working-capital-calculate - セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)の売上高比較の考え方:日本政策金融公庫「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m.html (制度の詳細な算定方法は公式サイト・窓口で要確認)

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執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。資金繰りの意思決定を経営の側から見てきた経験をもとに書いています。このサイトで紹介するのは手数料の上限を公式に明記している業者だけです。「審査なし」「誰でも通る」を売りにする業者は、載せません。

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