信用保証料はいくらかかるか
- 信用保証料は「借入金額×保証期間×信用保証料率」で計算され、責任共有制度の対象保証は決算内容等をもとにした9区分(0.45%〜1.90%、福岡県信用保証協会の例)で決まる
- 区分の判定には一般社団法人CRD協会のリスク評価モデル(CRDモデル、令和8年4月期の決算以降はCorpSG・PropSに切替)が使われるが、算出の仕組みは非公開(全国信用保証協会連合会公表情報)
- 分割返済の場合は返済回数に応じた係数(6回以下0.70〜25回以上0.55など、福岡県信用保証協会の例)を乗じる
- 経営者保証を提供しない場合は保証料率に0.25%または0.45%が上乗せされる(赤字・債務超過の両方に該当する場合は対象外、福岡県信用保証協会の例)
- 責任共有制度は2007年10月1日(平成19年10月1日)開始で信用保証協会80%・金融機関20%の割合で保証する仕組み
この記事の内容
この記事は、信用保証協会付き融資(制度融資・保証付き融資)を検討していて、金利とは別にかかる「信用保証料」がいくらになるのか知りたい経営者・個人事業主に向けて書いています。 結論から言うと、信用保証料は「借入金額×保証期間×信用保証料率」で計算され、料率は決算内容等をもとに9段階に分かれています。区分が良いか悪いかで負担額は数倍変わるため、金利だけを見て資金計画を立てると、実際の返済負担を見誤ります。
- 保証協会付き融資の見積もりに「信用保証料」という項目があるが、金利と何が違うのか分からない
- 自社の保証料率が高いのか低いのか、9区分のどこに当たるのか分からない
- 経営者保証を外すと保証料が上がると聞いたが、実際どのくらい上がるのか知りたい
結論:信用保証料は「借入金額×保証期間×料率」で決まる
信用保証料とは、信用保証協会が金融機関からの借入を保証する際に、借り手が保証協会に支払う手数料です。金利とは別枠でかかる費用で、一括前払いが原則です。基本の計算式は「信用保証料=借入金額×保証期間×信用保証料率」であり、料率は直近の決算内容等をもとにした9区分(責任共有保証料率で0.45%〜1.90%、福岡県信用保証協会の例)のどこに当たるかで決まります(福岡県信用保証協会「信用保証料率について」で確認、2026年9月確認)。同じ借入金額・保証期間でも、区分が違えば保証料は変わります。福岡県信用保証協会の責任共有保証料率では隣り合う区分の差が0.15〜0.20ポイントなので、1,000万円・5年の借入なら区分が1つ違うだけで7.5万〜10万円変わる計算です。
信用保証料とは何か:金利とは別にかかる仕組み
信用保証協会付き融資(制度融資)は、中小企業者が金融機関から借入をする際、信用保証協会が保証人となることで、金融機関が貸しやすくなる仕組みです。借り手側は、金融機関に支払う金利に加えて、保証人になってもらう対価として保証協会に信用保証料を支払います。プロパー融資(保証協会を通さない融資)では発生しない費用であり、「保証を付けてもらう分、金利とは別に保証料がかかる」という点が、資金計画を立てるうえでの前提になります。
信用保証協会自体は、47都道府県と4市(横浜市・川崎市・名古屋市・岐阜市)の計51法人として設立された公的な保証機関です(全国信用保証協会連合会「もっと知りたい信用保証」で確認、2026年9月確認)。
責任共有制度と9区分の料率体系
信用保証料率は、全国どこでも一律ではありません。中小企業者の直近の決算書等による経営状況を踏まえて、9段階の区分のどこに当たるかで決まります。
現在の信用保証制度は、平成19年(2007年)10月1日の保証申込受付分から「責任共有制度」のもとで運用されています(岡山県信用保証協会「責任共有制度について」で確認、2026年9月確認)。責任共有の方法には「部分保証方式」と「負担金方式」の2通りがあり、各金融機関がどちらかを選択します。部分保証方式は個別の貸付金額の80%を信用保証協会が保証する方式、負担金方式は保証時点では100%保証としたうえで、代位弁済の状況に応じて金融機関が信用保証協会に負担金を支払うことで、実質的に部分保証方式と同等の負担(20%相当)を金融機関が負う方式です(全国信用保証協会連合会「信用保証制度を支えるしくみ」で確認、2026年9月確認)。
この責任共有制度の対象となる保証に適用されるのが「責任共有保証料率」で、9区分の料率体系になっています。区分の判定には、一般社団法人CRD協会が提供するリスク評価モデル(「CRDモデル」)が使われています。CRDモデルは、CRD協会の会員である信用保証協会・金融機関から提供された財務データをもとに企業の経営状態を統計的手法で分析し、デフォルトの可能性を「評点」または「デフォルト確率(PD)」として算出するモデルで、算出に関する仕組みや個別企業の算出結果は機密事項として開示されていません(全国信用保証協会連合会「信用保証協会の保証料率区分を判定するモデルの変更について」で確認、2026年9月確認)。「CRDスコア・貸借対照表の有無・定性評価の3要素で決まる」といった説明を載せている解説記事もありますが、この3要素の切り分けは今回確認した一次資料(全国信用保証協会連合会・福岡県信用保証協会)には見当たらず、根拠を確認できませんでした。
なお、保証申込時に提出する直近の決算書の決算期が令和8年(2026年)4月期以降になると、区分判定に新しいモデル(法人向け「CorpSG」・個人事業主向け「PropS」)が用いられることになっています。この変更は、信用保証協会の保証の保険を引き受けている株式会社日本政策金融公庫の中小企業信用保険における信用保険料率の判定に用いるモデルの変更に伴うもので、全国の信用保証協会で一律の取り扱いです。同PDFは、新しいモデルはCRD協会の定期検証で従来より精度が高いとされていること、同じ決算書でも従来のモデルとは料率の区分が変わる可能性があることも明記しています(全国信用保証協会連合会「保証料率区分を判定するモデルの変更について」PDF、2026年3月公表・2026年9月22日確認)。新旧モデルが何をどう評価するかという具体的な項目の違いは、このPDFにも記載がなく、算出の仕組み自体が非開示です(全国信用保証協会連合会の公表資料に見当たらない。2026年9月22日確認)。自社がどの区分に当たるかは、申込先の信用保証協会に確認してください【各自確認:自社の直近決算が令和8年4月期以降か、どの区分に当たるか。申込先の信用保証協会に問い合わせて確認】。
料率表:9区分でいくら違うか
福岡県信用保証協会が公表している料率表は次のとおりです(福岡県信用保証協会「信用保証料率について」で確認、2026年9月確認)。
| 区分 | 責任共有保証料率 | 責任共有外保証料率 |
|---|---|---|
| 1 | 1.90% | 2.20% |
| 2 | 1.75% | 2.00% |
| 3 | 1.55% | 1.80% |
| 4 | 1.35% | 1.60% |
| 5 | 1.15% | 1.35% |
| 6 | 1.00% | 1.10% |
| 7 | 0.80% | 0.90% |
| 8 | 0.60% | 0.70% |
| 9 | 0.45% | 0.50% |
区分1(料率が最も高い)と区分9(料率が最も低い)では、責任共有保証料率で1.45ポイントの差があります。同じ1,000万円・5年の借入でも、区分1なら保証料は約95万円、区分9なら約22.5万円(いずれも一括返済・後述の計算式による概算)と、4倍以上の開きが出ます。この料率表は福岡県信用保証協会の例であり、他の都道府県・信用保証協会でも同じ9区分の考え方が採用されていますが、細部(小口向けの上限料率など)は協会ごとに異なる可能性があります。 自社が申込む協会の最新料率表は、各協会の公式サイトで確認してください。
保証料の計算方法:一括返済と分割返済
保証料の基本計算式は次のとおりです(福岡県信用保証協会「信用保証料率について」で確認、2026年9月確認)。
一括返済の場合
信用保証料 = 借入金額 × 保証期間 × 信用保証料率
例えば、借入金額1,000万円・保証期間5年・料率1.00%(区分6)の場合、信用保証料は「1,000万円×5年×1.00%=50万円」になります。
均等分割返済の場合
分割返済(元金均等)の場合は、上記の計算式に「返済回数に応じた係数」を乗じて計算します。借入残高が返済のたびに減っていく分、一括返済より保証料は少なくなる仕組みです。福岡県信用保証協会の例では、返済回数に応じて次の係数が使われています(福岡県信用保証協会、同上、2026年9月確認)。
| 返済回数 | 係数 |
|---|---|
| 6回以下 | 0.70 |
| 7〜12回 | 0.65 |
| 13〜24回 | 0.60 |
| 25回以上 | 0.55 |
この係数は福岡県信用保証協会の例であり、他の信用保証協会でも同じ刻みが使われるとは限らないため、実際の返済回数に対応する係数は申込先の信用保証協会の最新料率表で確認してください。
信用保証料自体の支払いは、原則として金融機関から融資を受けた日に全額を一括して支払います。ただし保証期間が2年を超える場合は、申し出により保証料自体の分割払いが認められる場合があります(福岡県信用保証協会、同上、2026年9月確認)。借入金の返済方法(一括/分割)と、保証料自体の支払い方法(一括/分割)は別の話である点に注意してください。
経営者保証を外すと保証料はいくら上がるか
経営者保証(代表者の個人保証)を提供しない条件で保証を受ける場合、保証料率に上乗せがかかります。福岡県信用保証協会の例では、直近決算の「債務超過の有無」と「直近2期連続赤字の有無」の組み合わせで、次のとおり決まります(福岡県信用保証協会、同上、2026年9月確認)。
| 直近決算が債務超過 | 直近2期連続赤字 | 上乗せ |
|---|---|---|
| なし | なし | +0.25% |
| なし | あり | +0.45% |
| あり | なし | +0.45% |
| あり | あり | 制度の対象外 |
例えば区分6(料率1.00%)の事業者が、債務超過でなく直近2期連続赤字でもない状態で経営者保証を外し、+0.25%の上乗せが適用されると、実質の料率は1.25%になります。経営者保証を外すことは代表者個人のリスクを減らせる一方、保証料の負担は増えるというトレードオフになるため、どちらを優先するかは、代表者の個人資産状況や事業の見通しを踏まえて判断する必要があります。自社がどの上乗せ幅になるかの事前確認は、福岡県信用保証協会のページで案内されている事前照会の窓口で行えます。
保証料率は都道府県で違うのか
信用保証協会は都道府県・主要市ごとに設立された別法人であり、それぞれが自協会の料率表を公表しています。今回確認した福岡県信用保証協会と埼玉県信用保証協会は、9区分の責任共有保証料率(区分1=1.90%〜区分9=0.45%)が一致していました(埼玉県信用保証協会「信用保証料率一覧表」は一般保証を例とした表、2026年9月22日確認)。大阪信用保証協会も、無担保の責任共有保証料率は区分1=1.90%〜区分9=0.45%で同じです。一方で大阪の「有担保・通常料率」は区分1=1.80%・区分9=0.35%と、無担保より0.10ポイント低い数値でした(大阪信用保証協会「信用保証料について」で確認、2026年9月22日確認)。つまり同じ協会の中でも、有担保か無担保かで料率表が分かれます。さらに全国信用保証協会連合会は、セーフティネット保証など一部の保証制度では一律の保証料率が適用されること、9区分の具体的な料率は保証制度によっても異なることを明記しています(同連合会「保証料率区分を判定するモデルの変更について」PDFの注記、2026年9月22日確認)。また東京信用保証協会は少額の保証について料率の上限を別途設けており、借入1,000万円以下は上限1.55%、500万円以下は上限1.27%、東京都制度融資については上限1.49%としています(東京信用保証協会「信用保証料率の体系」で確認、2026年9月22日確認)。今回料率表まで確認したのは福岡・埼玉・大阪の3協会で、それ以外の協会の料率表は確認していません。自社の所在地・事業内容や使う保証制度によって、適用される料率表が変わります【各自確認:申込先の信用保証協会の最新の料率表(公式サイトのPDF等)で、利用する保証制度・有担保か無担保かに当たる行を確認】。
保証料の負担を軽くする方法
保証料そのものの料率は決算内容等で決まるため、申込む側で自由に選べるものではありません。ただし、次のような負担軽減の余地があります。
- 自治体の保証料補助制度を確認する:都道府県・市区町村によっては、制度融資の利用時に信用保証料の一部を補助する制度を設けている場合があります。制度の有無・補助率は自治体ごとに異なるため、事業所在地の自治体窓口・産業振興課等で確認する必要があります
- 決算内容を改善してから借りる:料率区分はCRDスコア等の決算数値に基づくため、自己資本の増強や利益体質の改善が、次回借入時の区分改善につながる可能性があります
- 経営者保証を外すかどうかを事前に比較する:前述の上乗せ分を含めた総支払額で比較し、個人保証を外すメリットと保証料の増加分を天秤にかける
いずれも「借りる前」の準備で差が出る部分であり、融資実行の直前になってからでは対応できません。
実体験:保証協会付き融資を使ってきた会社の管理部門にいた立場から
正直に書きます。私自身が経営者として自社で信用保証協会付き融資を申し込み、保証料を支払った経験はまだありません。前職ではEC事業会社の執行役員として管理部門を統括していました。資金調達の主な手段はプロパー融資と自己資金でしたが、保証協会付きの融資も使っていて、借入の判断に関わる立場にはいました。
その立場で感じていたのは、保証料のように「金利とは別に乗る費用」ほど、借りる前に仕組みを分かっているかどうかで判断の速さが変わる、ということです。数字を見るだけでは分からない費用ほど、先に仕組みを調べておく価値があると感じています。
計算例:借入1,000万円・5年・区分6の場合の保証料
ここまでの料率表・計算式・上乗せ条件(すべて福岡県信用保証協会の公表値)だけを使い、次の前提で実際に計算します。
| 前提項目 | 設定値 |
|---|---|
| 借入金額 | 1,000万円 |
| 保証期間 | 5年 |
| 料率区分 | 区分6(責任共有保証料率1.00%) |
| 返済方法 | 一括返済/均等分割返済(25回以上)の2パターン |
| 経営者保証 | 提供する場合/外す場合(債務超過でなく直近2期連続赤字でもない)の2パターン |
1. 経営者保証を提供し、一括返済する場合
信用保証料 = 1,000万円 × 5年 × 1.00% = 50万円
2. 経営者保証を外し、一括返済する場合(+0.25%上乗せ)
実質料率は1.00%+0.25%=1.25%になるため、
信用保証料 = 1,000万円 × 5年 × 1.25% = 62.5万円
経営者保証を外す分、12.5万円多くかかる計算です。
3. 経営者保証を提供し、25回以上の均等分割返済にする場合(係数0.55)
信用保証料 = 1,000万円 × 5年 × 1.00% × 0.55 = 27.5万円
一括返済の場合(50万円)と比べて22.5万円少なくなります。同じ借入条件でも、経営者保証の有無と返済方法の組み合わせだけで保証料は27.5万円〜62.5万円まで幅が出ることが分かります。自社の実際の区分・返済回数を福岡県信用保証協会の料率表または申込先協会の最新料率表に当てはめれば、同じ手順で概算できます。
次にやること
まず、申込を検討している信用保証協会の公式サイトから最新の信用保証料率表(PDF)を入手し、自社の直近決算がどの区分に近いかを確認してください。 そのうえで、経営者保証の有無による料率の違いと、事業所在地の自治体に保証料補助制度がないかを、融資の申込前に確認してください。
※本記事は2026年9月時点の調査に基づく情報整理です。料率表・上乗せ料率は福岡県信用保証協会の公表情報を例として使用しており、他の信用保証協会では数値が異なる場合があります。申込先協会の最新情報を必ず公式サイトでご確認ください。個別の資金調達判断については、税理士・中小企業診断士・金融機関など専門家にご相談ください。
出典 - 信用保証料率について|福岡県信用保証協会 https://www.fukuoka-cgc.or.jp/use/charge.php(2026年9月7日確認) - 信用保証料率の体系|東京信用保証協会 https://www.cgc-tokyo.or.jp/business/guarantee_fee/system.html(2026年9月7日確認) - 信用保証料率一覧表|埼玉県信用保証協会 https://www.cgc-saitama.or.jp/use/charge-list.html(2026年9月8日確認) - 信用保証料について|大阪信用保証協会 https://www.cgc-osaka.jp/guide/charge/(2026年9月8日確認) - 信用保証協会の保証料率区分を判定するモデルの変更について|一般社団法人全国信用保証協会連合会 https://www.zenshinhoren.or.jp/news/5305/(2026年9月7日確認) - 保証料率区分を判定するモデルの変更について(PDF)|一般社団法人全国信用保証協会連合会 https://www.zenshinhoren.or.jp/jfg/wp-content/uploads/2026/03/model.pdf(2026年9月8日確認) - 信用保証制度を支えるしくみ|一般社団法人全国信用保証協会連合会 https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/hokan/(2026年9月7日確認) - もっと知りたい信用保証|一般社団法人全国信用保証協会連合会 https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/(2026年9月8日確認) - 責任共有制度について|岡山県信用保証協会 https://www.okayama-cgc.or.jp/aboutus/shikumi/sekininkyoyu/(2026年9月7日確認)