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税金を滞納していても資金調達できるか

この記事の結論
  • 銀行融資や公庫は納税証明書の提出を求められることが多く、滞納があると通りにくい
  • ファクタリングは主に売掛先の信用力を見るため、自社の滞納が直接の審査基準になりにくいとされる
  • 滞納を放置すると売掛金の差押えに発展する可能性があり、資金調達より先に「猶予制度」の相談が必要な場合がある
この記事の内容
  1. 結論:融資は滞納に厳しく、ファクタリングは仕組みが違う
  2. なぜ融資は納税証明書を求めるのか
  3. ファクタリングが滞納中でも検討しやすいとされる理由
  4. 比較表:滞納がある状態での資金調達手段
  5. 資金調達より先に確認すべきこと:差押えと猶予制度
  6. 差押えられた売掛金をファクタリングに出せるか
  7. 実体験:滞納の相談は「早いほど選択肢が残る」を社内で見てきた
  8. 次にやること

この記事は、税金や社会保険料の滞納があり、そのままでも資金調達ができるのかを急いで確認したい小規模事業者・一人社長に向けて書いています。 結論から言うと、信用保証協会付きの制度融資は保証申込時に納税証明書の提出が必要で、滞納があると通りにくくなります。日本政策金融公庫は公式の必要書類一覧に納税証明書の記載はありませんが、審査の過程で確認される場合があるとされています。一方でファクタリングは主に売掛先の信用力を見る仕組みのため、自社の滞納が直接の審査基準にならないケースがあるとされています。ただし、滞納を放置すると売掛金そのものが差し押さえられるリスクがあり、資金調達より先に確認すべきことがあります。

こんな状態ではありませんか
  • 税金や社会保険料を滞納していて、銀行融資の相談に行っていいのか分からない
  • 滞納があるとファクタリングも断られるのではないかと不安
  • 督促状が届いているが、資金調達を先にすべきか、税務署への相談を先にすべきか判断がつかない

結論:融資は滞納に厳しく、ファクタリングは仕組みが違う

税金や社会保険料の滞納があるとき、資金調達の手段によって通りやすさが大きく変わります。信用保証協会付きの制度融資は、保証申込時に納税証明書の提出が必要です(埼玉県信用保証協会「お申込方法・必要書類」、福岡県信用保証協会「お申込の手続きについて」、いずれも公式サイトで2026年8月確認)。日本政策金融公庫については、公式サイトの必要書類一覧に納税証明書の記載は見当たりませんでしたが(「インターネット申込の必要書類のご案内」、2026年8月確認)、審査の過程で追加提出を求められる場合があると複数の解説記事で説明されています【一次情報なし:公庫公式の必要書類一覧に記載はなく、解説記事ベースの情報です】。いずれの制度も、税金の未納があると審査で不利になりやすいと考えられます。

一方でファクタリングは、売掛金という「取引先が支払う予定のお金」を早期に現金化する仕組みで、審査の主眼が自社の信用力ではなく売掛先の信用力に置かれる傾向があります。そのため自社の税金滞納が直接の審査項目にならないケースがあるとされていますが、これは業者によって基準が異なり、断言はできません。

なぜ融資は納税証明書を求めるのか

融資は「貸したお金が期日までに返ってくるか」を審査する仕組みです。税金の滞納がある事業者は、公的な支払い義務すら履行できていない状態と見なされ、返済能力への疑いにつながりやすいと考えられます。

さらに実務上、税金は他の債権に優先して徴収される「国税優先の原則」(国税徴収法8条)があり、地方税についても同様の「地方税優先の原則」(地方税法14条)が定められています。金融機関からすると、自社への返済より先に税務署・自治体が売掛金や口座から回収してしまう可能性がある相手には、貸しにくい構造があります。この2つの理由から、納税証明書の提出を求める融資が多いとされています。

ファクタリングが滞納中でも検討しやすいとされる理由

ここが要点

ファクタリングは「自社にお金を貸す」のではなく「取引先が支払う予定の売掛金を、期日より早く買い取る」仕組みです。審査の中心は取引先(売掛先)が期日通りに支払える会社かどうかであり、自社の税金滞納は融資ほど直接的な審査項目にならない場合があるとされています。ただし業者ごとに基準は異なり、必ず通るという意味ではありません。

特に2社間ファクタリング(取引先に知らせずに契約する方式)では、必要書類が商業登記簿謄本・印鑑証明書・預金通帳の写し・決算書・売掛先との契約書や発注書など、自社の実在性や売掛金の実在性を確認するものが中心で、納税証明書は必要書類として明記されていない例があります(ビートレーディング公式サイトの解説、2026年8月確認)。ただし業者によって審査項目は異なるため、申込前に必要書類を確認する必要があります。

一方で3社間ファクタリング(取引先の同意を得て契約する方式)は取引先も関わるため、自社の経営状態がより詳しく確認される可能性があります。

比較表:滞納がある状態での資金調達手段

手段 納税証明書の要否 滞納中の通りやすさ 向いている状況
銀行融資・信用保証協会付き制度融資 必要(埼玉県・福岡県信用保証協会の公式サイトで確認) 難しい 滞納を解消・整理済みの場合
日本政策金融公庫 公式の必要書類一覧に記載なし(2026年8月確認)。審査で追加提出を求められる場合があるとされる(解説記事ベース) 難しい 同上
ビジネスローン(ノンバンク) 業者による(統一的な一次資料なし) 業者による 自社の信用情報に大きな問題がない場合
ファクタリング(2社間) 公式の必要書類一覧に記載なし(ビートレーディング公式で確認) 比較的検討しやすいとされる 売掛金があり、取引先の信用力に問題がない場合

※2026年8月時点の調査。銀行融資・信用保証協会付き制度融資とファクタリング(2社間)の納税証明書の要否は、各機関・企業の公式サイトで確認しました。日本政策金融公庫が審査過程で追加提出を求めるかどうか、ビジネスローン(ノンバンク)の納税証明書の要否は業者ごとの差が大きく、公式の一次資料では統一的に確認できないため(各社が公表していない情報)、解説記事ベースである旨を本文に明記しています。

資金調達より先に確認すべきこと:差押えと猶予制度

滞納を放置した場合、督促状が届いたあとも支払いがなければ、預金口座や売掛金債権が差し押さえられる可能性があります(国税徴収法47条)。地方税についても、滞納処分は国税徴収法に規定する滞納処分の例によるとされ、市町村民税は地方税法331条、固定資産税は同法373条に同様の規定があります。差押えは事業の資金繰りに直接的な打撃になるため、資金調達の手段を探す前に、滞納そのものへの対処を検討する価値があります。

国税には「換価の猶予」「納税の猶予」という制度があり、要件を満たして申請が認められれば、財産の差押えを避けながら分割で納付できる場合があります(納税の猶予=国税通則法46条、換価の猶予=国税徴収法151条・151条の2)。地方税についても、地方税法に同様の徴収猶予(15条)・換価の猶予(15条の6)の制度があります。これらは税務署・自治体の窓口(徴収担当)に相談することで手続きが始まります。

資金調達で目先の資金を確保しても、滞納そのものが解消されなければ差押えのリスクは残ります。可能であれば、資金調達の相談と並行して、税務署・自治体への相談も進めることをおすすめします。

差押えられた売掛金をファクタリングに出せるか

すでに売掛金債権が差し押さえられている場合、その債権を第三者(ファクタリング業者)に譲渡すること自体を禁じる規定はありませんが、差押えをした税務署・自治体に対しては譲渡の効力を主張できません。滞納処分による債権差押えでは、差押通知書に債権の処分禁止(譲渡・弁済期限の延長・債務免除等)が付記され、第三債務者は差押通知書の送達を受けたあとは、滞納者への譲渡や弁済があっても、それをもって差押えをした国・自治体に対抗できないとされています(国税徴収法62条、国税庁「国税徴収法基本通達 第62条関係」に基づく)。差押え後の債権は税務署・自治体が優先的に回収する権利を持つ状態にあるため、事業者が第三者に譲渡しても、ファクタリング業者が実際に売掛金を回収できない可能性が高いと考えられます。

「差し押さえられそうな売掛金を先にファクタリングで現金化してしまえばよいのでは」という考え方は、法的なリスクを伴う可能性があるため避け、差押えの通知を受けた時点で、税理士や税務署の窓口に相談することを優先してください。金融庁も、実質的に貸付けと変わらない条件で取引を持ちかけたり、債権額に比べて著しく低い金額で買い取ったりする悪質な業者(偽装ファクタリング)への注意を呼びかけています(金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」、2026年8月確認)。見分け方は別記事で詳しく扱っています。

実体験:滞納の相談は「早いほど選択肢が残る」を社内で見てきた

私の場合

正直に書きます。私自身が事業主として税金を滞納した経験はありません。前職では執行役員として管理部門を統括する立場にいたため、この記事は「滞納する側」の体験ではなく、「資金繰りの相談・稟議を確認する側」として見てきた事実に基づいて書いています。

社内で資金繰りが厳しくなった際、税金や社会保険料の支払いが後回しにされそうになった場面がありました。そのとき経理担当が最初に動いたのは、資金調達先を探すことではなく、税務署・年金事務所への早めの相談でした。滞納が数か月続いてから相談するより、支払いが難しいと分かった時点で相談したほうが、分割納付など選べる選択肢が多く残るという実感があります。滞納は「隠して先延ばしにする」ほど後の選択肢が狭まる、という点は繰り返し見てきました。

次にやること

まず、税務署・自治体の徴収担当に、現在の滞納状況と分割納付が可能かどうかを相談してください。 相談と並行して、資金調達を検討する場合は、すでに滞納があるなら銀行融資や公庫より先にファクタリングの2社間契約を検討する方が現実的です。ただしすでに差押えの通知が届いている場合は、売掛金を安易に譲渡せず、税理士または税務署の窓口に先に相談してください。

ラボル


※本記事は2026年8月時点の調査に基づく情報整理です。信用保証協会・ファクタリングの必要書類、国税徴収法・国税通則法・地方税法の条文番号は各機関・企業の公式ページで確認しました。日本政策金融公庫が審査過程で納税証明書の追加提出を求めるかどうか、ビジネスローン(ノンバンク)の納税証明書の要否は業者ごとの差が大きく、公式の一次資料では統一的に確認できないため、該当箇所にはと明記しています。個別の滞納・資金調達の判断については、税理士・税務署・各金融機関の公式情報をご自身でご確認ください。

出典 - 信用保証協会の納税証明書要件: 埼玉県信用保証協会「お申込方法・必要書類」(https://www.cgc-saitama.or.jp/use/apply.html)、福岡県信用保証協会「お申込の手続きについて」(https://www.fukuoka-cgc.or.jp/use/procedure.php)、いずれも2026年8月確認 - 日本政策金融公庫の必要書類一覧: 「インターネット申込の必要書類のご案内」(https://www.jfc.go.jp/n/service/doc_internet.html)、2026年8月確認(納税証明書の明記は見当たらなかった) - ファクタリングの納税証明書の位置づけ: ビートレーディング公式サイトの解説(https://betrading.jp/contents/factoring-basic/factoring-necessary-documents/)、2026年8月確認(必要書類一覧に納税証明書の記載は見当たらなかった) - 悪質な偽装ファクタリング業者への注意喚起: 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html)、2026年8月確認 - 国税優先の原則(国税徴収法8条)、差押えの要件(同法47条)、換価の猶予(同法151条・151条の2)は e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147)および国税庁の法令解説ページで確認 - 納税の猶予(国税通則法46条)は e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000066)および国税庁の法令解説ページで確認 - 地方税優先の原則(地方税法14条)、徴収猶予(同法15条)、換価の猶予(同法15条の6)、市町村民税の滞納処分(同法331条)、固定資産税の滞納処分(同法373条)は e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226)で確認 - 差押え後の債権譲渡(処分)が差押えをした国・自治体に対抗できない点(国税徴収法62条、差押通知書への処分禁止の付記)は国税庁「国税徴収法基本通達 第62条関係」(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/chosyu/05/01/03/062/01.htm)に基づく - 日本政策金融公庫の審査過程での納税証明書の追加提出、ビジネスローン(ノンバンク)の納税証明書の要否は、比較サイト・解説記事以外の一次資料(運営元公式ページ)で統一的に確認できなかったためとしています

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執行役員として、会社の管理部門を統括していました

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。資金繰りの意思決定を経営の側から見てきた経験をもとに書いています。このサイトで紹介するのは手数料の上限を公式に明記している業者だけです。「審査なし」「誰でも通る」を売りにする業者は、載せません。

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