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銀行との付き合い方

この記事の結論
  • メインバンクに法律上の定義はなく、一般に融資残高が最も多く、預金・決済・情報のやり取りが最も密な銀行を指す(株式会社エクステンド、2026年9月1日確認)
  • 取引銀行の数は「メイン・サブ・3位」の3行程度に加え、日本政策金融公庫など政府系金融機関を含めて5行以内が一つの目安とされる(同、2026年9月1日確認)
  • 渉外担当者一人当たりの融資残高の目安は、信用組合で約2,000万円、信用金庫で約3,000万円、第二地方銀行で約5,000万円弱、第一地方銀行で約7,000万円、メガバンクで約1億円という2015年頃のデータをもとにした解説があり、年商5億円前後で信用金庫から地方銀行へ、年商10億円あたりでメガバンクへの切り替えが一つの目安とされる(平野税理士事務所、2024年9月1日公開・2026年9月1日確認)
  • メインバンクを安易に変更すると、業績悪化時の対応実績や資料提出の継続性といった「定性情報」が新しい銀行に引き継がれない(和田経営相談事務所、2016年11月12日公開・2026年8月31日更新、2026年9月1日確認)
この記事の内容
  1. 結論:規模に合った銀行を軸に、数行と付き合う
  2. そもそもメインバンクとは何か
  3. 比較表:会社の年商規模と金融機関の目安
  4. 何行と取引すればいいか
  5. メインバンクに「なってもらう」ためにやること
  6. メインバンクを変えるときに失うもの
  7. やってはいけないこと
  8. 実体験:管理部門を統括した立場から見た銀行との距離
  9. 次にやること

この記事は、開業したばかり、あるいは取引銀行を一つも意識してこなかった小さい会社の経営者に向けて書いています。 結論から言うと、メインバンクとは「融資残高が最も多く、預金・決済・情報のやり取りが最も密な銀行」のことで、法律上の定義はありません(株式会社エクステンド、2026年9月1日確認)。作り方は難しくなく、①自社の年商に見合った規模の金融機関を軸に選び、②メイン1行に頼らずサブ・3位を含め数行と取引し、③日頃から試算表や資金繰りの状況を自分から開示する、という3つの積み重ねでできあがっていきます。

こんな状態ではありませんか
  • 開業してから何となく最初に口座を作った銀行と取引しているだけで、「メインバンク」と呼べる関係を作れていない
  • 会社の規模が大きくなってきたが、今の銀行のままでいいのか、切り替えるべきなのか判断がつかない
  • 銀行と仲良くする、というのが具体的に何をすることなのか分からない

結論:規模に合った銀行を軸に、数行と付き合う

メインバンクは、会社が意図して「指名」するというより、取引の実績が積み重なった結果として自然に決まっていくものです。金融機関側は融資残高・預金残高・取引の継続年数などから、どの取引先にとって自分たちが最も密接な関係にあるかを内部的に把握しています(株式会社エクステンド、2026年9月1日確認)。

小さい会社がメインバンクを「作る」ためにできることは、大きく3つです。1つ目は、自社の年商・借入規模に見合った金融機関を選ぶこと。大きすぎる銀行では取引の優先度が上がりにくく、逆に会社が成長しているのに小さな金融機関にとどまり続けると、必要な融資額に対応しきれない場面が出てきます。2つ目は、1行だけに頼らず、メイン・サブ・3位といった複数の金融機関と並行して取引すること。3つ目は、聞かれる前から試算表や資金繰りの状況を自分から開示し、金融機関にとって「状況が見えている取引先」であり続けることです。

そもそもメインバンクとは何か

メインバンクという言葉に、銀行法などによる公式な定義はありません。一般的な理解としては、複数の取引銀行の中で融資残高が最も多く、預金・決済・情報のやり取りが最も密な銀行を指すとされています(株式会社エクステンド「メインバンクとは?メインバンク制の仕組みと中小企業の銀行の選び方を解説」、2026年9月1日確認)。単に「最初に口座を作った銀行」や「一番支店が近い銀行」がメインバンクになるわけではなく、実際の取引量が基準になります。

メインバンクは資金の供給だけでなく、経営に関する情報やアドバイスを提供し、業績が悪化した際には他行より支援的に動くことが期待される存在とされてきました。ただし、この「メイン行が困ったときに支援する」という慣行そのものが、近年は形骸化してきているとの指摘もあります(同、2026年9月1日確認)。メインバンクだからといって、常に優遇された対応が保証されているわけではないという前提で付き合う必要があります。

比較表:会社の年商規模と金融機関の目安

会社の規模に対して金融機関の規模が大きすぎると、担当者一人が抱える取引先の中での優先度が上がりにくくなります。平野税理士事務所の解説記事では、渉外担当者一人当たりが抱える融資残高の目安(中小企業白書2016のデータをもとにした試算)として、次のような数字が紹介されています(同、2024年9月1日公開・2026年9月1日確認)。

年商のおおまかな目安 対応しやすい金融機関 渉外担当者一人当たりの融資残高目安
創業期〜数千万円規模 信用組合 約2,000万円
1億円前後 信用金庫 約3,000万円
3〜5億円規模 第二地方銀行 約5,000万円弱
5億円前後〜 第一地方銀行(地銀) 約7,000万円
10億円あたり〜 メガバンク(都市銀行) 約1億円

同記事は、年商5億円前後で信用金庫・信用組合から地方銀行へメインバンクを切り替える必要が出てくること、メガバンクは年商10億円あたりが取引の一つの目安になることを結論としています(同、2026年9月1日確認)。この数字はあくまで一事務所の解説記事が示す目安であり、全金融機関に共通する公式基準ではありませんが、「会社の規模と銀行の規模を合わせる」という考え方自体は、他の複数の解説記事でも共通して触れられています。

ここが要点

都市銀行(メガバンク)は担当者一人が扱う融資残高が大きい分、小さい会社1社あたりにかけられる時間は限られます。逆に信用金庫・信用組合は、規模の小さい会社ほど親身に対応してもらいやすい傾向があるとされています。「大きい銀行と取引できている=安心」ではなく、自社の規模に対して優先度高く見てもらえる相手を選ぶという視点のほうが実務的です。

何行と取引すればいいか

株式会社エクステンドの解説記事は、取引銀行の数について「メイン、サブ、3位の3つ程度が理想」とし、日本政策金融公庫や商工中金といった政府系金融機関との取引も含めれば、5行以内程度が一つの目安になるとしています(同「取引銀行は何行が適切?中小企業のメイン・サブバンクの使い分けと銀行数の決め方」、2026年9月1日確認)。

1行だけとの取引に絞ってしまうと、その銀行が融資を断った場合に他の選択肢がなく、資金調達の間口が狭くなります(同、2026年9月1日確認)。一方で、やみくもに数を増やしても、1行あたりの取引量が薄まり、どの銀行にとってもメインになれないまま終わってしまいます。メイン1行に融資残高を集中させつつ、サブ・3位となる銀行にも定期的に決算書・試算表を提出し、いつでも相談できる関係を保っておくのが現実的な形です。

メインバンクに「なってもらう」ためにやること

メインバンクは会社側が一方的に指名するものではなく、金融機関側から見て「最も情報が見えている取引先」になることで、結果としてそう扱われるようになっていくものです。具体的には、融資を申し込むタイミングだけでなく、決算後や四半期ごとなど日頃から試算表・資金繰りの状況を自分から示す姿勢が土台になります。銀行が決算書のどこを見ているかは[決算書のどこを銀行は見るか|自己資本と債務償還年数]、資金繰り表の作り方は[資金繰り表の作り方|一人社長は3列で足りる]で整理しています。

決算が思わしくない期があった場合でも、理由を添えて早めに伝えておくことは、金融機関との関係を維持するうえで重要とされています。逆に、聞かれるまで何も開示しない状態が続くと、いざ融資が必要になったときに「状況が分からない取引先」として慎重に扱われるリスクがあります。

メインバンクを変えるときに失うもの

事業が拡大し、今の銀行では対応しきれなくなったタイミングでメインバンクを切り替える場面もあります。ただし、安易な変更にはリスクがあります。和田経営相談事務所(愛媛県松山市、代表:中小企業診断士)の解説記事は、メインバンクを変更すると、業績悪化時の対応実績や資料提出の継続性といった過去の対話や危機対応の記録を、そのまま新しい銀行に引き継ぐことはできないと指摘しています(同、2016年11月12日公開・2026年8月31日更新、2026年9月1日確認)。

新しい銀行は、限られた資料と短い取引期間で会社を評価するため、業績が悪化した局面では慎重な対応になりやすいとされています(同)。また、旧銀行への事前の説明が不十分だと、将来再び取引を申し込んでも以前と同じ関係には戻れないことがある、とも述べられています(同)。金利や条件面だけを比較して切り替えを決めるのではなく、これまでの取引履歴という「定性情報」を手放すことになる点も踏まえて判断する必要があります。

やってはいけないこと

1つ目は、融資が必要になったときだけ銀行に連絡することです。普段の接点がないまま緊急の資金需要を持ち込んでも、金融機関側には判断材料が乏しく、対応に時間がかかりやすくなります。

2つ目は、複数行と取引しているつもりで、実際には融資残高がどの銀行にも偏らず分散しすぎている状態です。この場合、どの銀行にとっても「メイン」と呼べる取引先になれず、業績が悪化した際に積極的に支援してくれる相手がいない、という状況に陥りかねません。

実体験:管理部門を統括した立場から見た銀行との距離

私の場合

正直に書きます。私自身が経営者として自社のメインバンクを選び、育ててきた経験はありません。前職では執行役員として管理部門を統括する立場にいたため、この記事は「経営者として銀行を選ぶ側」ではなく、会社として複数の金融機関と日常的にやり取りする側で見てきた事実に基づいて書いています。

その立場で感じていたのは、融資の相談がスムーズに進む銀行と、毎回一から状況を説明し直さなければならない銀行がはっきり分かれる、ということでした。前者は、こちらが決算や資金繰りの状況を定期的に伝えていた銀行で、後者は融資が必要になったときだけ連絡するような関係の銀行でした。銀行との関係は、金利の良し悪し以上に、日頃の接点の積み重ねで差がつくという実感があります。

次にやること

まず、今取引している銀行の中で、融資残高が最も多い銀行がどこか、自分で把握してください。 それが実質的な現在のメインバンクです。次に、自社の年商規模に対して今の銀行の規模が合っているか(信用金庫・信用組合レベルなのか、地方銀行以上が必要なのか)を確認し、取引銀行が1行だけであれば、サブとなる2行目・3行目の候補を検討してください。すでに複数行と取引がある場合は、直近の試算表を最も融資残高の多い銀行に自分から提出できているかを見直してみてください。銀行が決算書のどこを見ているかは[決算書のどこを銀行は見るか|自己資本と債務償還年数]、経営者保証を外す条件は[融資の連帯保証|経営者保証を外す条件]、金利の相場は[銀行融資の金利相場|プロパー・保証付き・ビジネスローンの差]でそれぞれ詳しく整理しています。


※本記事は2026年9月時点の調査に基づく情報整理です。渉外担当者一人当たりの融資残高の目安や年商別の切り替えタイミングは、一事務所の解説記事が示す参考値であり、全金融機関に共通する公式基準ではありません。個別の銀行取引・資金調達の判断については、顧問税理士・取引金融機関にご自身でご確認ください。

出典(2026年9月1日確認) - メインバンクの定義(法律上の定義がなく、融資残高が最も多く預金・決済・情報のやり取りが最も密な銀行を指すこと)、メイン行支援の形骸化:株式会社エクステンド「メインバンクとは?メインバンク制の仕組みと中小企業の銀行の選び方を解説」https://www.extend-ma.co.jp/g20221026/ - 取引銀行数の目安(メイン・サブ・3位の3行程度、政府系金融機関を含め5行以内)、1行取引のリスク:株式会社エクステンド「取引銀行は何行が適切?中小企業のメイン・サブバンクの使い分けと銀行数の決め方」https://www.extend-ma.co.jp/g20230802/ - 渉外担当者一人当たりの融資残高目安(信用組合約2,000万円/信用金庫約3,000万円/第二地銀約5,000万円弱/第一地銀約7,000万円/メガバンク約1億円、中小企業白書2016のデータをもとにした試算)、年商規模別のメインバンク切り替え目安(年商5億円前後で地方銀行、年商10億円あたりでメガバンク):平野税理士事務所「会社規模に応じた中小企業のメインバンクの決め方:金融機関の違いを理解する」https://finance-tax-osaka.com/choose-main-bank/(2024年9月1日公開) - メインバンク変更で失われる定性情報(業績悪化時の対応実績・資料提出の継続性)、新しい銀行が慎重な対応になりやすい理由:和田経営相談事務所「メインバンク変更 デメリット」https://wada-keiei.com/archives/7993(2016年11月12日公開、2026年8月31日更新) - 実体験部分は運営者本人が前職(執行役員・管理部門統括)で見てきた事実に基づく

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執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。資金繰りの意思決定を経営の側から見てきた経験をもとに書いています。このサイトで紹介するのは手数料の上限を公式に明記している業者だけです。「審査なし」「誰でも通る」を売りにする業者は、載せません。

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