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決算書のどこを銀行は見るか

この記事の結論
  • 自己資本比率(自己資本÷総資産×100)は財務の安全性を示す指標で、目安は20〜30%以上とされる(複数の専門家サイトに共通、二次情報)
  • 中小企業の自己資本比率の中央値は43.4%(東京商工リサーチ調べ、2023年9月期〜2024年8月期決算、金融・保険業を除く21万2,195社が対象)
  • 債務償還年数(借入金÷(経常利益+減価償却費-法人税等))は返済能力を示す指標で、7年以内が望ましく10年を超えると危険信号とされる(エフアンドエムで確認、業種により差あり)
  • 銀行の格付けは定量評価・定性評価・実態評価の3本柱で決まり、都市銀行は定量評価を100%とする場合もある一方、地方銀行・信用金庫は定性評価を組み込む傾向がある(上原会計事務所で確認)
  • 銀行は貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の「財務三表」を軸に、勘定科目内訳明細書まで確認して財務内容の信頼性を見ている(TOMAコンサルタンツグループで確認)
この記事の内容
  1. 結論:自己資本比率と債務償還年数が2大指標
  2. 比較表:銀行が決算書で見る主な指標
  3. 自己資本比率とは|計算式と目安
  4. 債務償還年数とは|計算式と目安
  5. 銀行の格付けは「定量」だけでなく「定性」も見る
  6. 決算書のどの帳票を、どの順で見ているか
  7. 単年の数字より「推移」を見られている
  8. 実体験:管理部門を統括した立場から見た決算書の使われ方
  9. 次にやること

この記事は、銀行に決算書を提出したものの「結局どこを見て判断されているのか分からない」小規模事業者・法人経営者に向けて書いています。 結論から言うと、銀行が最も重視するのは「自己資本比率(会社の体力)」と「債務償還年数(何年で借金を返せるか)」の2つの指標です。この2つに加えて、経営者の資質や事業の将来性といった数字にならない部分も「定性評価」として組み合わされ、最終的な融資の可否・金利が決まります。

こんな状態ではありませんか
  • 決算書を提出したが、銀行が具体的に何を見て判断しているのか分からない
  • 自己資本比率や債務償還年数という言葉は聞いたことがあるが、自社の数字が良いのか悪いのか判断できない
  • 次の決算までに何を改善すれば銀行の評価が上がるのか、優先順位が分からない

結論:自己資本比率と債務償還年数が2大指標

銀行が融資を判断するとき、決算書は「合格・不合格を決める試験の答案」のように扱われます。担当者の主観だけで決まるわけではなく、決算書の数字から算出される指標をもとに、社内の格付け(信用力のランク付け)が決まり、それに応じて融資の可否や金利が変わっていきます。

その格付けを決める柱になるのが、財務の安全性を示す自己資本比率と、返済能力を示す債務償還年数です。この2つがどういう数字で、何を意味するのかを知っておくと、自社の決算書が銀行からどう見られているかを、担当者に聞かなくてもある程度推測できるようになります。

比較表:銀行が決算書で見る主な指標

指標 何を表すか 計算式 目安
自己資本比率 財務の安全性(返済に頼らず経営できているか) 自己資本(純資産)÷総資産×100 20〜30%以上が目安(複数の専門家サイトに共通、二次情報)
債務償還年数 返済能力(何年で借金を返し切れるか) 借入金残高÷(経常利益+減価償却費-法人税等) 7年以内が望ましく、10年を超えると危険信号とされる(業種により差あり)
売上高経常利益率 本業でどれだけ稼げているか 経常利益÷売上高×100 業種により幅があり、統一的な目安は確認できず(一次情報は確認できず)
定性評価 数字に表れない経営力 経営者の資質・後継者の有無・業界内の立ち位置など 都市銀行は定量評価のみで格付けする場合もあるが、地方銀行・信用金庫・信用組合は定性評価も組み込む傾向がある

※上記はいずれも各社・各団体の公開情報・解説記事を2026年9月1日に確認したものです。業種・銀行によって目安は変わるため、あくまで参考の範囲として見てください。

自己資本比率とは|計算式と目安

自己資本比率は「自己資本(純資産)÷総資産×100」で計算します。借入などの他人資本に頼らず、自社の資本でどれだけ経営できているかを示す指標で、比率が高いほど財務的に安全とされています。目安として20〜30%以上が一つの基準とされていますが、これは複数の専門家サイトに共通して見られる目安であり、業種横断の統一基準として公式に定められているものではありません(一次情報は確認できず)。

ここが要点

自社の比率が「高いか低いか」は、全体の目安だけでなく同業種内での位置づけで見る必要があります。東京商工リサーチの調査(2023年9月期〜2024年8月期決算、金融・保険業を除く5期連続比較可能な21万2,195社が対象)によると、中小企業の自己資本比率の中央値は43.4%で、2020年から4.4ポイント上昇しています(東京商工リサーチ、2026年9月1日確認)。ただし業種によって水準は大きく異なり、設備投資が重い製造業と、在庫回転の速い小売業とでは同じ比率でも意味合いが変わってきます。

自己資本比率を上げる方法としては、利益を積み上げて内部留保を厚くする、不要な資産を圧縮する、増資を行うといった手段が一般的に挙げられます。即効性のある改善策ではなく、決算を重ねるごとに効いてくる指標だという前提で見ておく必要があります。

債務償還年数とは|計算式と目安

債務償還年数は「借入金残高÷(経常利益+減価償却費-法人税等)」で計算し、今の利益水準を維持した場合、何年で借入を完済できるかを示す指標です(株式会社エフアンドエム、2026年9月1日確認)。同社の解説では、目安として「10年を超えると危険信号」とされ、「7年以内」が望ましいラインとして示されています。

ただし、これも業種によって差があります。大規模な設備投資が必要な製造業などでは、10年を超えても健全な水準と判断されることがあるとされています(同、2026年9月1日確認)。自己資本比率が「今の体力」を見る指標だとすれば、債務償還年数は「この先どれくらいの期間、借金を背負い続けることになるか」という時間軸の指標だと捉えると分かりやすくなります。

新規の借入をすると、当然この年数は延びます。追加融資を検討する際は、自社の債務償還年数が今どのあたりにあり、新たな借入でどこまで延びるのかを、事前に計算しておくと交渉の材料になります。

銀行の格付けは「定量」だけでなく「定性」も見る

ここまでの自己資本比率・債務償還年数は、決算書の数字から機械的に算出できる「定量評価」です。しかし銀行の格付けは、定量評価だけで決まるわけではありません。税理士法人上原会計事務所の解説によると、銀行の格付けは「定量評価」「定性評価」「実態評価」の3つで構成されます(上原会計事務所、2026年9月1日確認)。

  • 定量評価:決算書などの財務指標を使った評価。自己資本比率・債務償還年数はここに含まれる
  • 定性評価:経営者の資質や事業の将来性、市場動向など、数字に表れない部分の評価
  • 実態評価:定量・定性の評価に反映されていない事項を加減する評価

同解説では、都市銀行は定量評価を重視し、スコアの100%を定量評価だけで算出する銀行もある一方、地方銀行・信用金庫・信用組合は定性評価を組み込む傾向が強く、「定量評価70%、定性評価30%」といった配分でスコアを算出する銀行もあるとされています。配分は全国で統一されているわけではなく、銀行ごとに異なります。

つまり、決算書の数字だけを整えても、格付けのすべてが決まるわけではありません。事業計画書や経営者との面談を通じて、数字に表れない部分をどう伝えるかも、格付けに影響する余地があるということです。

決算書のどの帳票を、どの順で見ているか

決算書は複数の書類で構成されていますが、銀行が特に重要視するのは「貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書」の3つで、これらは「財務三表」と呼ばれています(TOMAコンサルタンツグループ、2026年9月1日確認)。貸借対照表は資産・負債・純資産の状態、つまり会社の「財政状態」を示し、損益計算書は一定期間の利益・損失、つまり「経営成績」を示します。

これに加えて、銀行は「勘定科目内訳明細書」も確認します。これは貸借対照表・損益計算書の各勘定科目の内訳をまとめた書類で、法人税の確定申告時に提出が義務付けられています。銀行はこの明細書を見ることで、決算書の数字の中身(誰にいくら貸しているか、在庫の内容はどうかなど)まで確認し、企業の信頼性を判断しています(同、2026年9月1日確認)。決算書の表面上の数字を整えるだけでなく、その内訳まで説明できる状態にしておくことが、審査を通りやすくする準備になります。

単年の数字より「推移」を見られている

自己資本比率・債務償還年数のいずれも、単年の数字だけで評価が決まるわけではありません。銀行は決算書を複数期分並べて、勘定科目の回転期間(売掛金や在庫がどれくらいの期間で現金化されているか)の推移と、業種平均との比較から、数字の不自然な変動がないかを確認しているとされています(株式会社エクステンド、2026年9月1日確認)。

急に売掛金や在庫の残高だけが増えている、利益が出ているのに現金が増えていない、といった動きは、単年の決算書だけでは見えにくく、複数期の推移を見て初めて浮かび上がる場合があります。この点も踏まえると、決算のたびに数字を作り込むより、日頃から実態に沿った経理を積み重ねておくことのほうが、結果として銀行からの評価につながりやすいと言えます。

実体験:管理部門を統括した立場から見た決算書の使われ方

私の場合

正直に書きます。私自身が経営者として自社の決算書を銀行に提出し、融資の審査を受けた経験はありません。前職では執行役員として管理部門を統括する立場にいたため、この記事は「審査を受けた側」の体験ではなく、決算書・試算表をもとに金融機関へ説明する資料を準備する側として見てきた事実に基づいて書いています。

その立場で実感していたのは、決算書の数字そのものよりも、「なぜその数字になったのか」を説明できるかどうかが、金融機関とのやり取りをスムーズにするという点でした。自己資本比率や利益率が前期より落ちている期であっても、その理由(一時的な設備投資か、取引先の入金遅れかなど)を数字で説明できる資料を添えて相談したときのほうが、単に決算書だけを提出したときより、担当者の反応が具体的な質問に変わっていく感覚がありました。決算書は「結果」であり、銀行が本当に見たいのはその結果に至った理由と、今後どうなる見込みなのか、という部分だと感じています。

次にやること

まず、直近の決算書から自己資本比率(自己資本÷総資産×100)と債務償還年数(借入金残高÷(経常利益+減価償却費-法人税等))を自分で計算してください。 自己資本比率が20%を下回っている、あるいは債務償還年数が10年を超えている場合は、次の決算に向けて何を改善できるか(利益の積み上げ、不要資産の圧縮、借入の圧縮など)を、顧問税理士がいれば早めに相談してください。数字自体に大きな問題がない場合でも、事業計画書や試算表を通じて「数字の理由」を説明できるようにしておくと、格付けの定性評価の部分でプラスに働く余地があります。赤字決算の場合の考え方は[赤字決算でも融資は受けられるか]、金利の仕組みは[銀行融資の金利相場]でそれぞれ詳しく整理しています。


※本記事は2026年9月時点の調査に基づく情報整理です。自己資本比率・債務償還年数の目安は業種・銀行によって幅があり、全国共通の統一基準として公式に定められているものではありません。銀行の格付けの具体的な配点・基準は各金融機関の内部情報であり、公式には公表されていません。個別の資金調達・財務改善の判断については、税理士・金融機関への確認を優先してください。

出典(2026年9月1日確認) - 自己資本比率・債務償還年数の計算式と目安:株式会社エフアンドエム「融資の決定打!スコアリング項目の債務償還年数を解説」https://www.fmclub.jp/blog/zaimu/121 - 中小企業の自己資本比率の中央値43.4%(2023年9月期〜2024年8月期決算、金融・保険業を除く21万2,195社対象):東京商工リサーチ「自己資本比率50%超が44.0%、財務内容が改善」https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201194_1527.html - 銀行格付けの構成(定量評価・定性評価・実態評価、都市銀行と地方銀行・信用金庫の違い):税理士法人上原会計事務所「銀行はどのように会社を格付け評価するのか?」https://u-ks.jp/column/loan-financing/rating-by-bank - 決算書の「財務三表」と勘定科目内訳明細書の役割:TOMAコンサルタンツグループ「銀行は決算書のどこを見る?融資を判断するポイントを紹介」https://toma.co.jp/blog/finance/kessansho_ponit/ - 粉飾決算の見抜き方(勘定科目の回転期間の推移と業種平均との比較):株式会社エクステンド「銀行は粉飾決算をどう見破るのか?」https://www.extend-ma.co.jp/g20110613/ - 実体験部分は運営者本人が前職(執行役員・管理部門統括)で見てきた事実に基づく

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執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。資金繰りの意思決定を経営の側から見てきた経験をもとに書いています。このサイトで紹介するのは手数料の上限を公式に明記している業者だけです。「審査なし」「誰でも通る」を売りにする業者は、載せません。

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