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借入の一本化(借換え)は資金繰りを楽にするか

この記事の結論
  • 借入の一本化(借換え)とは、複数ある借入を1つの新しい借入にまとめ、返済期間を延ばして毎月の返済額を減らす仕組み
  • 信用保証協会には「借換保証制度」があり、複数の保証付き融資を一本化できる
  • 日本政策金融公庫は他の金融機関からの借入の借換えには原則使えない(申込書に明記)
  • 毎月の返済額は減っても、返済期間が延びる分、総支払利息は増える可能性がある
  • 一本化する前に、窓口の金融機関か信用保証協会に個別相談することが唯一の確認手段
この記事の内容
  1. 結論:借入の一本化は「毎月の負担」を減らす仕組みで、「総額」は減らない
  2. まず、複数の借入を抱えて困っているのは経営判断のミスではない
  3. 比較表:借入をそのまま続ける場合と一本化した場合
  4. 信用保証協会の「借換保証制度」とは何か
  5. 日本政策金融公庫は「借換え」に使えるか
  6. 一本化しても資金繰りが楽になるとは限らない理由
  7. 一本化を検討する前に確認すること
  8. 実体験:管理部門を統括した立場から見た複数借入の管理コスト
  9. 次にやること

この記事は、複数の借入を抱えていて、返済日がバラバラで資金繰り表を作るのも一苦労になっている小規模事業者・一人社長に向けて書いています。 結論から言うと、借入の一本化(借換え)とは、複数ある借入を1つの新しい借入にまとめ、返済期間を延ばすことで毎月の返済額を減らす仕組みです。信用保証協会には「借換保証制度」という名前でこの仕組みが用意されており、実際に月々の返済額が半分以下になった事例もあります。ただし、返済期間が延びる分、支払う利息の総額は増える可能性があります。「毎月の支払いを減らしたい」のか「支払う利息の総額を減らしたい」のか、目的を分けて考える必要があります。

こんな状態ではありませんか
  • 借入が複数あって、返済日も金融機関の窓口もバラバラで管理が煩雑になっている
  • 「借換え」「借入の一本化」という言葉を聞いたが、自分の借入で使えるのか分からない
  • 一本化すれば本当に資金繰りが楽になるのか、逆に損をするのではないかと不安がある

結論:借入の一本化は「毎月の負担」を減らす仕組みで、「総額」は減らない

借入の一本化(借換え)とは、複数ある借入をまとめて1つの新しい借入契約に置き換え、その新しい借入で既存の借入を全額返済する取引です。信用保証協会の説明でも、借換とは「新規の保証付借入で既存の保証付借入を返済すること」とされています(大阪信用保証協会「借換」、2026年9月1日確認)。

一本化の主なねらいは、返済期間を延ばすことで毎月の返済額を減らし、資金繰りに余裕を作ることです。返済日や窓口が1つにまとまるため、管理の手間も減ります。ただし、返済期間が延びれば、その分だけ利息を払う期間も延びます。「毎月の支払いが楽になること」と「最終的に払う金額が減ること」は別の話であり、一本化はこのうち前者を目的にした仕組みだと理解しておく必要があります。

まず、複数の借入を抱えて困っているのは経営判断のミスではない

ここが要点

創業融資、運転資金の追加融資、設備資金と、事業を続けていれば借入が複数になるのは自然なことです。それぞれ別のタイミングで、別の目的で借りたものが、気づけば返済日も金額もバラバラになり、月々の資金繰り表を作るだけで時間を取られる状態になります。これは経営判断の誤りではなく、借入という制度そのものが「1回ごとに完結する契約」である以上、複数回借りれば当然そうなる構造の問題です。

心身に不調が出るほど資金繰りに追い詰められている場合は、この記事の情報より先に、医師や産業医への相談を優先してください。ここから先は、一本化という選択肢の中身を具体的に確認していく内容です。

比較表:借入をそのまま続ける場合と一本化した場合

項目 そのまま複数の借入を続ける 一本化(借換え)する
毎月の返済額 各借入の返済額の合計のまま 返済期間を延ばすことで軽減できる場合がある
返済期間 各借入の元の期間のまま 新しい借入の期間に置き換わり、延びることが多い
総支払利息 元の契約どおり 返済期間が延びる分、増える可能性がある
管理の手間 返済日・窓口が複数に分かれる 1本にまとまり、管理しやすくなる
新規の追加融資枠 各借入の枠が個別に残る 一本化に伴い保証枠を使うため、圧迫される可能性がある
適用できる借入 信用保証協会の保証付き融資同士が基本(制度により対象範囲が異なる)

※信用保証協会の借換保証制度は、保証付き融資であることが前提です。プロパー融資(保証なしの融資)や他の金融機関の融資をどこまで対象にできるかは制度・協会ごとに異なるため、必ず窓口の金融機関か信用保証協会に個別確認してください。

信用保証協会の「借換保証制度」とは何か

信用保証協会には、複数の借入金の債務を一本化し、毎月の返済額を軽減して資金繰りを円滑にするための「借換保証制度」があります(岡山県信用保証協会「借入れを一本化したい」、2026年9月1日確認)。全国信用保証協会連合会も、資金繰りの改善を目的とした保証制度の1つとしてこの仕組みを紹介しています(全国信用保証協会連合会「資金繰りの改善をお考えの方」、2026年9月1日確認)。

大阪信用保証協会が公開している事例では、2,000万円(7年返済)と1,200万円(5年返済)の2つの借入を抱え、毎月43.8万円を返済していた事業者が、残高1,000万円と600万円の借入を新たな1,600万円の借入(7年・元金均等返済)にまとめた結果、毎月の返済額が19万円まで軽減されたケースが紹介されています(大阪信用保証協会「借換」、2026年9月1日確認)。あくまで1つの事例であり、軽減される幅は借入残高・残りの返済期間・新しい借入の条件によって変わります。

なお、中小企業庁は新型コロナウイルス関連の融資(民間ゼロゼロ融資等)の返済負担を軽減するための「コロナ借換保証」という制度も設けています。保証限度額は1億円(100%保証の融資は100%保証での借換が可能)、保証期間は10年以内(据置期間5年以内)、保証料率は0.2%等(補助前は0.85%等)で、売上または利益率が5%以上減少していることなどの要件があり、金融機関による伴走支援と「経営行動計画書」の作成が条件になります(中小企業庁「民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)を開始します。」、2026年9月1日確認)。ただし取扱期間は2026年9月30日まで(予定、石川県信用保証協会への保証申込を除く)と公式ページに明記されており、この記事を読んでいる時点で申込に間に合うかは、中小企業庁の最新情報か窓口の金融機関・信用保証協会で必ず確認してください。該当する借入がある場合は、取引金融機関か信用保証協会に個別に確認してください。

日本政策金融公庫は「借換え」に使えるか

日本政策金融公庫を使って、他の金融機関からの借入を一本化(借換え)できるかというと、原則としてできません。日本政策金融公庫が公式サイトで公開している借入申込書には、「(注)原則として、他の金融機関の借入金のお借替えにはご利用いただけません。公庫資金においても、お借替えいただけない制度があります。」という注記が明記されています(日本政策金融公庫「借入申込書(国民生活事業)」、2026年9月1日確認)。

これは、日本政策金融公庫が「民間金融機関を補完する」という位置づけで運営されている(政策金融機関としての制度趣旨)ためだとする解説が一般的です。一方で、日本政策金融公庫から既に借りている融資については、既存の公庫融資と新規融資を合わせて一本化する借換えに対応する場合があるとされています(マネーフォワード クラウド会社設立「日本政策金融公庫で借り換えは可能?」、2026年9月1日確認)。ただし融資制度によって対応できない場合もあるため、該当する場合は日本政策金融公庫の担当者に直接確認する必要があります。

ここが要点

つまり、「借入の一本化」と一口に言っても、①信用保証協会の保証付き融資同士をまとめる借換保証制度、②日本政策金融公庫の既存融資同士をまとめる借換え、の2つの経路があり、他の金融機関の借入を日本政策金融公庫に肩代わりさせることは基本的にできません。どの借入をどの窓口でまとめられるのかは、借入の種類によって変わります。

一本化しても資金繰りが楽になるとは限らない理由

一本化によって毎月の返済額が減れば、その月その月の資金繰りは楽になります。ただし、次の3点は必ず押さえておく必要があります。

  1. 総支払利息が増える可能性がある:返済期間を延ばすことで毎月の返済額を下げているため、借りている期間そのものが長くなり、その分利息を払う期間も延びます。毎月の負担は減っても、最終的に払う金額の総額は増える可能性があります
  2. 金利が下がるとは限らない:一本化=金利が下がる、ではありません。新しい借入の金利は、そのときの審査・条件によって決まります
  3. 新規の追加融資枠を使う:信用保証協会の保証付き融資を一本化する場合、その借入は保証協会の保証枠を使います。一本化に枠を使った分、その後に追加で借りたいときの枠が圧迫される可能性があります

一本化は「今月・来月をしのぐための時間を作る」手段であり、資金繰りそのものの根本原因(売上不足、支払サイトのずれ、固定費の重さなど)を解決するものではありません。一本化で作った時間の中で、根本原因に手を打つ必要があります。

一本化を検討する前に確認すること

  1. 今の借入がそれぞれ、保証付きかプロパーか、日本政策金融公庫かを整理する:借入ごとに一本化できる窓口が変わるため、まず借入の一覧を作ります
  2. 一本化後の毎月の返済額と、返済期間全体で払う利息総額の両方を試算してもらう:窓口の金融機関や信用保証協会に、両方の数字を出してもらってください。毎月の返済額だけを見て判断しないことが重要です
  3. 一本化によって、追加融資の枠がどれだけ圧迫されるかを確認する:近い将来に追加の借入を考えている場合、この点を先に確認しておくと後で困りません
  4. 窓口はご利用中の金融機関:借換保証制度の申し込みは、取引のある金融機関が窓口になります(大阪信用保証協会「借換」、2026年9月1日確認)。まずは普段取引している金融機関に相談するところから始めます

実体験:管理部門を統括した立場から見た複数借入の管理コスト

私の場合

正直に書きます。私自身が事業の借入を一本化した経験はありません。前職では執行役員として管理部門を統括する立場にいたため、この記事は「借換えを申し込んだ側」の体験ではなく、資金繰り表や返済スケジュールを管理・確認する側として見てきた事実に基づいています。

借入が複数あると、返済日・引落口座・金利がそれぞれ違うため、資金繰り表を作るだけで確認作業に時間を取られます。1つの借入が遅れなくても、別の借入の引落タイミングと重なって口座残高が足りなくなる、といった事態も起こり得ます。返済日を1本にまとめられることの実務的な価値は、返済額そのものの軽減以上に、この「確認作業の負担が減ること」にあると感じています。一方で、管理がラクになることと、支払う利息の総額が減ることは別物だという点は、資金繰り表を見る立場として必ず切り分けて考えていました。

次にやること

まず、今抱えている借入を一覧にして、それぞれが保証付きか・プロパーか・日本政策金融公庫かを整理してください。 その上で、取引のある金融機関か、最寄りの信用保証協会に「借換保証制度が使えるか」を相談してください。相談の際は、毎月の返済額だけでなく、返済期間全体で払う利息の総額も必ず両方出してもらってください。


※本記事は2026年9月時点の調査に基づく情報整理です。個別の借入をどの制度でまとめられるかの判断は、取引金融機関・信用保証協会・税理士など専門家にご相談ください。

出典 - 大阪信用保証協会「借換」https://www.cgc-osaka.jp/business-support/ippon/ (2026年9月1日確認) - 岡山県信用保証協会「借入れを一本化したい」https://www.okayama-cgc.or.jp/hoshoseido/kariire-ipponka/ (2026年9月1日確認) - 全国信用保証協会連合会「資金繰りの改善をお考えの方」https://www.zenshinhoren.or.jp/model-case/shikinguri/ (2026年9月1日確認) - 全国信用保証協会連合会「さまざまな保証制度」https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/hoshoseido/ (2026年9月1日確認) - 中小企業庁「民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)を開始します。」https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sinyouhosyou/karikae.html (2026年9月1日確認、保証限度額・保証期間・取扱期間等の本文まで到達して確認) - 日本政策金融公庫「借入申込書(国民生活事業)」https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/mousikomi190701_dl.pdf (2026年9月1日確認、PDF原本の「(注)原則として、他の金融機関の借入金のお借替えにはご利用いただけません。」を確認) - マネーフォワード クラウド会社設立「日本政策金融公庫で借り換えは可能?制度の仕組みや資金繰りの改善策を解説」https://biz.moneyforward.com/establish/basic/77415/ (2026年9月1日確認、二次情報。既存の公庫融資同士の借換え「公庫融資借換特例制度」の記載は同記事のみで一次資料未到達)

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執行役員として、会社の管理部門を統括していました

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。資金繰りの意思決定を経営の側から見てきた経験をもとに書いています。このサイトで紹介するのは手数料の上限を公式に明記している業者だけです。「審査なし」「誰でも通る」を売りにする業者は、載せません。

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