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償還請求権とは

この記事の結論
  • 償還請求権とは、売掛先が代金を支払わなかったとき、ファクタリング会社が利用者に代わりの支払いを求められる権利
  • 「ノンリコース(償還請求権なし)」でなければ、売掛先の倒産リスクを利用者自身が負うことになり、実質的に借金と同じ構造になる
  • 償還請求権ありの契約は貸金業法上の無登録営業を問われるリスクがあるとされる
  • 契約書に「償還請求権なし」の明記があるかを自分の目で確認することが唯一の防衛策
この記事の内容
  1. 結論:償還請求権は「売掛先が払えないとき、あなたが払う」という取り決め
  2. まず、聞き慣れない言葉に立ち止まるのは正しい
  3. 比較表:償還請求権あり(ウィズリコース)となし(ノンリコース)
  4. 償還請求権があると、なぜ「借金」と同じになるのか
  5. 償還請求権ありの契約が抱える法的リスク
  6. 契約書のどこを確認すればよいか
  7. 「ノンリコースだから安心」でもリスクはゼロにならない
  8. 実体験:管理部門を統括した立場から見た契約書確認
  9. 次にやること

この記事は、ファクタリングの契約書やサービス説明に出てくる「償還請求権」という言葉の意味が分からず、契約していいものか不安になっている小規模事業者・一人社長に向けて書いています。 結論から言うと、償還請求権とは、売掛先(取引先)が代金を支払わなかった場合に、ファクタリング会社が利用者に代わりの支払いを求められる権利のことです。これが付いている契約(ウィズリコース)は、売掛先が倒産しても入金がなくても利用者が穴埋めする義務を負うため、実質的には「売掛金を担保にした借金」と変わりません。契約書に「償還請求権なし(ノンリコース)」と明記されているかどうかが、安全に使えるかどうかの分かれ目です。

こんな状態ではありませんか
  • 「償還請求権」という言葉が契約書に出てきたが、意味がよく分からないまま署名しそうになった
  • 売掛先が万が一支払えなかったとき、自分はどうなるのか知りたい
  • 「ノンリコース」と言われたが、それが何を保証しているのか実感がない

結論:償還請求権は「売掛先が払えないとき、あなたが払う」という取り決め

ファクタリングは、利用者が持つ売掛金(請求書)をファクタリング会社に買い取ってもらい、早期に現金化する取引です。この「買い取り」が本当の売買として成立しているかどうかを左右するのが、償還請求権(しょうかんせいきゅうけん)という権利の有無です。

償還請求権とは、売掛先が期日に代金を支払わなかった場合に、ファクタリング会社が利用者に対して「あなたが代わりに支払ってください」と請求できる権利のことです。この権利が契約に付いている状態を「ウィズリコース」、付いていない状態を「ノンリコース」と呼びます。ノンリコースであれば、売掛先が倒産して代金が回収できなくなっても、その損失はファクタリング会社が負い、利用者に追加の支払い義務は発生しません。民法466条は「債権は、譲り渡すことができる」と債権譲渡の原則自由を定めており(e-Gov法令検索、2026年9月1日確認)、本来の債権譲渡=売買であれば、譲渡した後にその債権がどうなろうと譲渡した側に買い戻し義務は生じないのが取引の性質です。

まず、聞き慣れない言葉に立ち止まるのは正しい

ここが要点

「償還請求権」「リコース」「ノンリコース」といった言葉は、日常ではまず使いません。意味が分からないまま契約書に目を通し、そのまま署名しそうになるのは、知識不足ではなく専門用語の壁が高すぎるだけです。この1つの言葉の意味を確認するかどうかで、後から「聞いていた話と違う」と感じる事態を避けられるかが決まります。立ち止まって確認しようとしていること自体が、正しい防衛行動です。

心身に不調が出るほど資金繰りに追い詰められている場合は、この記事の情報より先に、医師や産業医への相談を優先してください。ここから先は、この言葉の中身を具体的に確認していく内容です。

比較表:償還請求権あり(ウィズリコース)となし(ノンリコース)

項目 ウィズリコース(償還請求権あり) ノンリコース(償還請求権なし)
売掛先が支払わなかった場合 利用者が代わりに支払う義務を負う ファクタリング会社が損失を負う。利用者に追加請求はない
経済的な実態 売掛金を担保にした借入に近い 売掛金の本来の売買
利用者が負うリスク 売掛先の倒産リスクをそのまま負う 売掛先の倒産リスクを手放せる
法的な扱われ方 貸金業に該当すると判断されるおそれがある(金融庁) 債権譲渡(民法466条)として扱われる
事業者向けファクタリングでの位置づけ 通常は選ばれるべきではない形態 一般的な事業者向けファクタリングはこちらが基本

※金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html、2026年9月1日確認)は、事業者向けファクタリングについても「経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものは貸金業に該当するおそれがある」としています。 ※「国内の事業者向けファクタリングはノンリコースが主流」という言い方は複数の業者比較サイトで共通して見られますが、一般社団法人オンライン型ファクタリング協会の公式サイト(j-ofa.org)には契約割合の統計は掲載がなく、中小企業庁・経済産業省の公表資料にも該当する統計は見当たりませんでした【一次情報なし:ノンリコースの採用比率を示す一次資料は業界団体・官公庁のいずれにも確認できず、以下は業者比較サイトに共通する説明にとどまります(2026年9月1日確認)】。業者・契約ごとに実際の条項は異なるため、必ず個別に確認してください。

償還請求権があると、なぜ「借金」と同じになるのか

ファクタリングが融資(借入)と違う最大の理由は、「返済義務がない」という点にあります。売掛金を売った後は、その債権がどうなろうと利用者には関係がない、というのが本来の売買の姿です。

ところが償還請求権が付いていると、この前提が崩れます。売掛先が倒産する、支払いを拒む、資金繰りが悪化して払えないといった事態が起きたとき、ファクタリング会社は利用者に「代わりに払ってください」と請求できます。利用者から見れば、

  • 最初にファクタリング会社から現金を受け取る(=借りたのと同じ)
  • 売掛先が払わなければ、自分がその分を払う(=返済したのと同じ)

という構造になり、経済的な実態は「売掛金を担保にした借入」と変わらなくなります。手数料という名目で受け取っている金額差が、実質的な利息として機能してしまうということです。

償還請求権ありの契約が抱える法的リスク

貸金業法2条1項は、貸金業を「金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介で業として行うもの」と定義しています(e-Gov法令検索、2026年9月1日確認)。金融庁は公式サイト「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html、2026年9月1日確認)で、事業者向けファクタリングについて、①買取代金が債権額に比べて著しく低額である、②売主が債権を買い戻すことを求められる、③売主自身の資金でファクタリング業者に支払う、といった実態がある場合は、ノンリコースをうたっていても経済的な実態から貸金業に該当するおそれがあるとしています。償還請求権ありの契約は、この①〜③に近い構造を持つため、同じリスクを負う可能性があります。

貸金業の登録を受けずに貸金業を営むことは貸金業法違反にあたります(貸金業法11条、無登録営業の禁止、2026年9月1日確認)。加えて出資法5条は、業として金銭の貸付けを行う者が年20%を超える利息を受け取ることを禁じ(5条2項)、年109.5%を超える場合はさらに重い刑事罰の対象になります(5条3項)。この上限は貸金業登録の有無にかかわらず適用され、「登録業者は20%まで、無登録業者は109.5%まで」といった対応関係ではありません(出資法5条2項・3項、2026年9月1日確認)。個人の給料を買い取る「給与ファクタリング」については、最高裁判所第三小法廷が令和5年2月20日、令和4年(あ)第288号事件で、この取引が貸金業法2条1項・出資法5条3項にいう「貸付け」に当たると判断しました(決定文原文は確認できていませんが、事件番号・決定日・結論の向きは有斐閣Online・複数の法律専門家の解説記事で一致しており、金融庁も給与ファクタリングは貸金業に該当すると公式に明示しています。2026年9月1日確認)。事業者向けファクタリングでも、償還請求権が付いていれば同種の構造上の問題を抱えます。

ここが要点

つまり、償還請求権の有無は単なる契約条項の違いではなく、「この取引が法的に何なのか」を決める分かれ目です。償還請求権ありの契約を持ちかけられた場合、それは通常のファクタリングの範囲を超えている可能性があると考えてください。

契約書のどこを確認すればよいか

営業担当者の口頭説明だけで判断せず、必ず契約書そのものの文言で確認してください。

  1. 「償還請求権なし」「ノンリコース」という文言が明記されているか:契約書または基本契約書の条項に、この言葉自体が書かれているかを確認します。書かれていない場合、口頭で「安心してください」と言われても根拠になりません
  2. 買い戻し・買取請求・再売買といった別の言葉に置き換わっていないか:「償還請求権」という言葉を使わず、「売掛先が支払わない場合、利用者は売掛金を買い戻すものとする」といった条項で、実質的に同じ義務を課している契約があります
  3. 担保・保証人・連帯保証の条項がないか:ノンリコースをうたいながら、別の条項で個人保証や担保を求めている場合、実質的に償還請求権があるのと同じ状態になります
  4. 不明な条項は署名前に質問し、回答を書面かメールで残す:口頭でのやり取りだけで済ませず、記録に残る形で確認してください

「ノンリコースだから安心」でもリスクはゼロにならない

ノンリコース契約であっても、注意すべき点は残ります。売掛先の支払いが遅れた原因が「利用者側の債務不履行(納品物に不備があった等)」にある場合、その責任まではファクタリング会社が肩代わりしないのが一般的です。ノンリコースが保証するのは「売掛先の信用リスク(倒産・支払い不能)」であって、「取引そのものに問題があった場合の責任」までは対象外になることがあります。この線引きも契約書で確認しておくと、後のトラブルを防げます。

実体験:管理部門を統括した立場から見た契約書確認

私の場合

正直に書きます。私自身がファクタリングを利用者として契約した経験はありません。前職では執行役員として管理部門を統括する立場にいたため、この記事は「契約した側」の体験ではなく、契約書や取引条件を確認・検討する側として見てきた事実に基づいています。

社内で外部との契約書を確認する際、必ず見ていたのは「良い条件を謳っている文言」ではなく、「万が一うまくいかなかったとき、誰が損を負うか」という条項でした。ファクタリングに限らず、契約全般で「相手が支払わない場合はどうなるか」を定めた条項は、契約書の中でも見落とされやすい箇所です。ノンリコースかどうかの1点は、まさにこの「万が一のとき誰が損を負うか」を決める条項そのものなので、契約書のうち最も時間をかけて読むべき部分だと考えています。

次にやること

まず、検討している契約書に「償還請求権なし(ノンリコース)」という文言が明記されているかを、自分の目で確認してください。 見当たらない場合は署名せず、担当者に書面での回答を求めてください。この1点を確認するだけで、「知らないうちに借金を背負っていた」という事態を避けられます。ラボルも含め、償還請求権の扱いは業者ごとに必ず公式ページか契約書本文で確認してください。実際にラボルの公式サイトと利用規約を確認したところ(2026年9月1日、実ブラウザで確認)、手数料は「一律買取額の10%のみ」とトップページに明記されている一方、「ノンリコース」「償還請求権」という語そのものはサイト・規約のどちらにも見当たりませんでした。利用規約では第19条(買取対象債権の買戻義務)が、買戻しを「利用者の確約事項が真実・正確でなかった場合や遵守事項に違反した場合」に限定しており、取引先の倒産そのものを理由とする買戻し義務の規定は見当たりません。つまり「明記の語がない=リコース(償還あり)」とは限らず、条文の中身まで読む必要がある、というのがこの記事の結論をそのまま裏付ける実例です。


※本記事は2026年9月時点の調査に基づく情報整理です。個別の契約が合法か違法かの判断は、弁護士など専門家にご相談ください。

出典 - 民法466条(債権の譲渡性): e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (2026年9月1日確認) - 貸金業法2条1項(貸金業の定義): e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032 (2026年9月1日確認) - 出資法5条2項・3項(上限金利規制): 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律 e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000195 (2026年9月1日確認) - 貸金業法11条(無登録営業の禁止): e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032 (2026年9月1日確認) - 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html (2026年9月1日確認) - 最高裁判所第三小法廷 令和5年2月20日決定(令和4年(あ)第288号、給与ファクタリングを貸金業法2条1項・出資法5条3項の「貸付け」と判断。決定文原文は未確認、有斐閣Online・複数の法律専門家の解説記事(岩田合同法律事務所ニュースレター等)で事件番号・決定日・結論が一致、2026年9月1日確認)

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執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。資金繰りの意思決定を経営の側から見てきた経験をもとに書いています。このサイトで紹介するのは手数料の上限を公式に明記している業者だけです。「審査なし」「誰でも通る」を売りにする業者は、載せません。

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