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資金繰り表を日次で作る

この記事の結論
  • 月次の資金繰り表は月末の残高しか見ないため、月の途中の「資金の谷」を見落とす
  • 日次表は日付・入金・出金・残高の4列で足りる
  • 谷が見つかったら、支払日の相談・入金の前倒し・借入の順に手を打つ
この記事の内容
  1. 月末がプラスでも、途中でお金が足りなくなるのはなぜ?
  2. 月次と日次は、何が違う?
  3. 日次の表は何を書けばいい?
  4. 何を拾えば、抜けが出ない?
  5. 計算例:資金の谷が見つかるまでの手順
  6. 谷が見つかったら、何から手を打つ?
  7. 表は、どのくらいの頻度で直せばいい?
  8. 数字を見るのがつらいときは?
  9. 日次の表を作るチェックリスト
  10. 次にやること

月末の残高はプラスなのに、20日ごろ口座の残りが足りなくなる。 そんな不安を抱える小さな会社・個人事業主向けの記事です。 答えは、月次ではなく「日次」の資金繰り表を作ること。 この記事では、作り方と、数字を入れた計算例まで出します。

月末がプラスでも、途中でお金が足りなくなるのはなぜ?

お金は、入る日と出る日が毎月バラバラです。 売上が立つ日と、入金される日も違います。

月次の表は「月初の残高+その月の入金-その月の出金=月末の残高」だけを見ます。 合計は合っていても、月の中でどの順番にお金が動くかは表に出ません。

たとえば、25日に大きな入金があるのに、その前の20日に大きな支払いがあるとします。 月の合計はプラスです。 でも、20日から24日までは口座が足りません。 この「途中の凹み」を、この記事では資金の谷と呼びます。

足りないと気づくのが当日の朝だと、打てる手がほとんどありません。 前もって見えていれば、相談する時間が取れます。

月次と日次は、何が違う?

比較すると、こうなります。

項目 月次の資金繰り表 日次の資金繰り表
見る単位 1か月 1日
分かること 月末にいくら残るか 毎日いくら残るか、最低額はいつか
見落としやすいもの 月の途中の不足 ほぼ無い
手間 少ない 月に数十分(慣れれば)
向いている場面 年間の見通し、金融機関への説明 入出金の波が大きい月、資金が薄いとき

全部を日次にする必要はありません。 向こう1〜2か月だけ日次、その先は月次で十分です。 日次に絞るほど、手間も減ります。

日次の表は何を書けばいい?

列は4つで足ります。

  1. 日付
  2. 入金(その日に口座へ入る額)
  3. 出金(その日に口座から出る額)
  4. 残高(前日の残高+入金-出金)

ここで一番大事なのは、売上や仕入の「発生日」ではなく、お金が動く「日」で書くことです。 請求書を出した日ではなく、入金される日。 納品を受けた日ではなく、振込む日です。

Excelやスプレッドシートなら、残高の列に「前日の残高+入金-出金」の式を入れておくだけです。 専用のソフトは要りません。

何を拾えば、抜けが出ない?

出金は「固定のもの」から先に入れます。

  • 家賃・リース料・保険料
  • 従業員の給与(支払日が決まっている)
  • クレジットカードの引き落とし
  • 外注費・仕入の支払い
  • 税金・社会保険料

税金は、納期が制度ごとに決まっています。 たとえば、従業員の給与から預かった源泉所得税は、原則として支払った月の翌月10日が納期です(所得税法183条。国税庁タックスアンサーNo.2505)。 ただし、給与を受ける人が常時10人未満で納期の特例の承認を受けていれば、1〜6月分は7月10日、7〜12月分は翌年1月20日にまとめて納めます(所得税法216条。同No.2505)。 このように、会社によって日付が変わります。 自分の納付書・通知書の日付をそのまま入れてください。

入金は、売掛金の入金予定日が中心です。 取引先ごとに「月末締め・翌月25日払い」のような約束があるはずなので、契約書や請求書から拾います。

迷う入金は、遅れる前提で書くのが安全です。 入金は早まる分には困りません。

計算例:資金の谷が見つかるまでの手順

ここからは、仮の数字での計算例です。 自分の数字に置き換えて使ってください。

前提は次のとおりです。

  • 月初の口座残高:120万円
  • 売上の入金:25日に400万円(売掛金)
  • 出金は下の表のとおり、合計477万円
日付 内容 入金 出金 残高
1日 月初 120万円
5日 家賃・リース 40万円 80万円
10日 源泉所得税など 12万円 68万円
15日 カード引き落とし 35万円 33万円
20日 外注費 60万円 ▲27万円
25日 売掛金の入金 400万円 373万円
25日 給与 180万円 193万円
月末 仕入先への支払い 150万円 43万円

月次で見ると:120万円+400万円-477万円=43万円。プラスなので、問題なさそうに見えます。

日次で見ると:20日の外注費を払った時点で、残高は▲27万円。 25日の入金まで、5日間(20〜24日)足りない状態が続きます。

この表から分かることは3つです。

  1. 谷の深さは27万円
  2. 谷の長さは5日間
  3. 谷の原因は「20日の外注費60万円」と「25日の入金」の順番

原因が見えれば、手の打ち方が選べます。

谷が見つかったら、何から手を打つ?

お金を借りる前に、支払い・入金の日を動かせないかを考えます。 順番は、費用が小さい順です。

  1. 支払日をずらす:先ほどの例なら、外注費を20日から25日以降に変えられないか相談する。5日の違いなら、聞いてもらえる場合があります。
  2. 入金を前に出す:請求書を早く出す、入金サイトの短縮を相談する、など。
  3. 別の出金を後ろへ:クレジットカードの引き落とし日を変える、など。
  4. 借入・ファクタリングなど:1〜3で足りないときに、はじめて検討する。

最後の手段ほど、手数料や利息がかかります。 谷が短くて浅いなら、ほとんどの場合は1〜3で足ります。

なお、この例の谷は27万円・5日間です。 この深さの穴を埋めるのに、大きな借入は必要ないかもしれません。 見えないままだと不安だけが大きくなり、必要以上に借りてしまうことがあります。 数字にして初めて、「思ったより小さい」と分かることもあります。

表は、どのくらいの頻度で直せばいい?

作った表は、実際の動きとズレていきます。 ズレたまま放っておくと、表を信じられなくなって、使わなくなります。

目安は次のとおりです。

  • 週に1回:実際の残高と表の残高を合わせる(5分ほど)
  • 入金が遅れたとき:その日のうちに、入金日を書き換える
  • 大きな支払いが決まったとき:すぐに行を足す

「予定」と「実績」を並べて持つと、自分の見積もりのクセも分かります。 入金がいつも3日遅れる取引先があれば、最初から3日遅れで置けばよくなります。 表は完璧でなくて構いません。ズレに気づける状態にしておくのが目的です。

数字を見るのがつらいときは?

資金繰りを見るのは、気持ちが重い作業です。 先延ばしにしたくなるのは、怠けているからではありません。 悪い数字を見たくないのは、誰でも同じです。

少しだけ、見方を変えてみてください。

  • 表を作るのは、「自分を責める材料」を探すためではありません
  • 谷が見つかるのは、悪いことではなく、事前に手を打てるという知らせです
  • 一人で抱えず、税理士・顧問の方・商工会議所などに数字を見せて相談する手もあります

眠れないほど不安な状態が続くなら、お金の話とは別に、医師や専門の窓口にも相談してください。

日次の表を作るチェックリスト

今日、そのまま使える確認項目です。 □ が全部埋まれば、最初の表は完成です。

□ 今日の口座残高(全口座の合計ではなく、口座ごと)を書いた □ 向こう30日分の日付を、1日ごとに行にした □ 固定の出金(家賃・給与・リース・保険料)を日付つきで入れた □ クレジットカードの引き落とし日と金額を入れた □ 税金・社会保険料を、納付書や通知書の日付で入れた □ 売掛金の入金を、請求書ではなく「入金予定日」で入れた □ 入金が遅れそうなものは、遅れる前提の日に置いた □ 残高の列に「前日の残高+入金-出金」の式を入れた □ 残高が一番低い日と金額に、色をつけた □ マイナスの日があれば、その原因の出金・入金をメモした

残高がマイナスにならなくても、低い日が見えること自体が収穫です。 「ここだけ薄い」と分かれば、その週は大きな出費を避けられます。

次にやること

今日の残高と、向こう30日の出金をまず書き出してください。 入金は後回しで構いません。 先に出金を並べると、「この日が重い」という山が自然に見えます。

そこに入金予定を足して、残高が一番低い日を探してみましょう。 それが見つかれば、最初の一歩は終わりです。

当サイト運営者

執行役員として、会社の管理部門を統括していました

執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。資金繰りの意思決定を経営の側から見てきた経験をもとに書いています。このサイトで紹介するのは手数料の上限を公式に明記している業者だけです。「審査なし」「誰でも通る」を売りにする業者は、載せません。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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