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融資の据置期間とは

この記事の結論
  • 据置期間とは元金の返済を待ってもらい利息だけを払う期間のこと
  • 日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は設備資金・運転資金とも据置期間5年以内(2024年度拡充。以前は2年以内)
  • 据置期間中も利息の支払いは発生し、融資実行後に据置期間だけを追加することは原則できない
  • 長さは「黒字化・資金繰り安定までの見込み期間」から逆算して決める
この記事の内容
  1. 結論:据置期間は「利息だけ払う期間」、長さは黒字化の見込みから逆算する
  2. 据置期間とは何か
  3. なぜ据置期間という仕組みがあるのか
  4. 主な融資制度の据置期間の目安
  5. 据置期間を長く取るメリットとデメリット
  6. 据置期間の長さをどう決めるか
  7. 据置期間中・終了後に注意すること
  8. よくある勘違い
  9. 次にやること

この記事は、融資の申込書に「据置期間」という欄があるが、何年に設定すればいいか分からない経営者・創業予定者に向けて書いています。 結論から言うと、据置期間とは元金の返済を待ってもらい利息だけを払う期間のことで、長さは「事業のキャッシュフローが安定するまでにどれくらいかかりそうか」から逆算して決めます。長く取れば当面の返済負担は軽くなりますが、その分「元金を払わない期間」が延びるだけで、借りた金額そのものが減るわけではありません。

こんな状態ではありませんか
  • 創業融資の申込書に「据置期間」の欄があるが、何を基準に決めればいいか分からない
  • 据置期間を長く取れば楽になると思っているが、デメリットがあるなら知っておきたい
  • 据置期間が終わったあと、返済額がどう変わるのか想像がついていない

結論:据置期間は「利息だけ払う期間」、長さは黒字化の見込みから逆算する

据置期間とは、融資を受けたあと元金の返済を待ってもらい、利息だけを支払う期間のことです。創業直後や設備投資の直後など、すぐには利益が出にくい時期に、当面のキャッシュアウトを利息分だけに抑えるために設けられます。

据置期間を設定できるかどうか、何年まで設定できるかは、借りる先の融資制度によって決まっています。たとえば日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では、設備資金・運転資金のいずれも据置期間5年以内です(2024年4月1日拡充。それ以前は2年以内。日本政策金融公庫「『スタートアップサポートプラザ』の新設について」2024年4月1日付ニュースリリース別紙3より)。ただし据置期間は「借りた金額が減る仕組み」ではなく、「元金を払い始める時期を後ろにずらす仕組み」です。長く取るほど、据置期間が終わったあとに残っている元金の返済期間は短くなり、月々の返済額が増える点には注意が必要です。

据置期間とは何か

ここが要点

融資の返済は、通常「元金+利息」を毎月一定額(または元金均等)で返していきます。据置期間はこのうち元金部分の返済だけを一定期間待ってもらう仕組みです。利息の支払いは据置期間中も発生します。「据置期間=返済が丸ごと止まる期間」ではない、という点をまず押さえてください。

融資の申込時には、「融資期間(何年で完済するか)」と「据置期間(そのうち何年を利息のみの支払いにするか)」の2つを決めます。据置期間は融資期間に含まれる内数です。たとえば融資期間10年・据置期間2年であれば、最初の2年は利息のみを支払い、残り8年で元金と利息を返済していく、という形になります。

なぜ据置期間という仕組みがあるのか

据置期間が設けられている理由は、事業を始めた直後や大きな設備投資をした直後は、すぐには売上・利益が計画どおりに立ち上がらないことが多いためです。元金の返済まで一律に求めてしまうと、まだ利益が出ていない時期に資金繰りが行き詰まり、事業を続けられなくなるリスクが高まります。据置期間は、この立ち上がり期間のキャッシュアウトを利息分だけに抑えることで、事業が軌道に乗るまでの時間を確保する目的で設けられています。

主な融資制度の据置期間の目安

据置期間の長さは制度ごとに異なります。調査した範囲で分かっている目安は次のとおりです。

制度 融資期間の目安 据置期間の目安
日本政策金融公庫・新規開業/スタートアップ支援資金 設備資金20年以内・運転資金10年以内(原則)※1 設備・運転とも5年以内(2024年4月拡充。以前は2年以内)※1
過去の実質無利子・無担保融資(いわゆるゼロゼロ融資) 制度・実行時期により異なる 最大5年※2(現在この制度による新規融資は終了している)
信用保証協会の保証付き融資(制度融資) 保証協会・取扱金融機関・自治体の制度ごとに異なる 一律の基準は公開されていない。案件ごとに金融機関・保証協会との協議で決まる(2026年9月確認)
民間金融機関のプロパー融資 金融機関と個別交渉 一律の基準はなく、案件ごとの協議で決まる

※1 日本政策金融公庫「『スタートアップサポートプラザ』の新設について」2024年4月1日付ニュースリリース別紙3による。 ※2 中小企業基盤整備機構「J-Net21」記載の制度概要による(2026年9月確認)。

信用保証協会の保証付き融資や民間金融機関のプロパー融資については、「据置期間は何年まで」という一律の基準を示した公式情報は確認できませんでした(2026年9月確認)。制度融資は自治体・信用保証協会・取扱金融機関の組み合わせで条件が変わるため、利用を検討する制度融資の詳細は、窓口となる金融機関か信用保証協会に個別に確認する必要があります。

据置期間を長く取るメリットとデメリット

  • メリット:据置期間中は利息のみの支払いで済むため、月々のキャッシュアウトを抑えられます。創業直後や設備投資直後で売上が立ち上がっていない時期の資金繰りに余裕を作れます。
  • デメリット:据置期間を長く取っても、融資期間全体(完済までの年数)が変わらなければ、その分「元金を返す期間」が短くなり、据置期間終了後の月々の返済額が増えます。また、据置期間中も利息は発生し続けるため、支払う利息の総額が据置期間の分だけ増える可能性があります。

据置期間は「返済の負担を先送りする」仕組みであって、「返済の負担そのものを減らす」仕組みではない、という理解が必要です。

据置期間の長さをどう決めるか

据置期間の長さを決める基準は、「事業のキャッシュフローが安定し、元金の返済を始められるようになるまで、どれくらいの期間がかかりそうか」です。具体的には次のような点から見積もります。

  • 創業計画書・事業計画上、黒字化(または損益分岐点到達)を見込んでいる時期はいつか:据置期間はその見込み時期に近づけて設定するのが基本です。極端に長く取ると、審査する側から見て事業計画の実現性そのものを疑われる要因にもなり得ます。
  • 設備投資が先行し、売上の立ち上がりに時間がかかる業種かどうか:店舗の内装工事や機械設備の導入など、稼働開始までに時間がかかる投資では、据置期間を長めに検討する余地があります。
  • すでに売上が立っている状態での追加融資・借り換えかどうか:創業時と異なり、既に一定のキャッシュフローがある場合は、据置期間を短くする、または設定しない選択肢もあります。

据置期間は原則として融資実行前の申込時に決める項目です。長さに迷う場合は、自分の事業計画上の黒字化見込み時期を先に紙に書き出し、それより極端に長い据置期間を希望しない、という順番で考えるのが実務的です。

据置期間中・終了後に注意すること

  • 据置期間中も利息の支払いは発生する:「据置期間=返済が止まる期間」ではありません。利息の支払いを資金繰り表に必ず織り込んでおく必要があります。
  • 融資実行後に据置期間だけを後から追加することは、原則としてできない:据置期間は融資審査の一部として決まる条件のため、借入後に「やはり据置期間を延ばしたい」となった場合は、新たな据置期間の追加ではなく、返済条件の変更(リスケジュール)の相談という扱いになります。これは通常の据置期間の設定とは別の手続きです。
  • 据置期間が終わった直後に返済額が増える「ジャンプ」に備える:据置期間終了後は、元金の返済が一気に始まるため、その月から返済総額が増えます。この増加分を資金繰り表に事前に反映しておかないと、据置期間が終わった月に資金繰りが急に苦しくなる、という事態が起こり得ます。

よくある勘違い

調査した範囲では、据置期間について次のような勘違いが見られます。

  • 「据置期間中は何も払わなくていい」という勘違い:実際は利息の支払いが発生します。
  • 「据置期間を長く取るほど得」という勘違い:据置期間を長く取ると、その分だけ元金の返済期間が圧縮され、据置期間終了後の月々の返済額が増えます。総支払利息が増える可能性もあります。
  • 「据置期間はあとから延ばせる」という勘違い:借入後の据置期間の追加は原則できません。返済が苦しくなった場合の対応は、リスケジュール(条件変更)の相談という別の手続きになります。

次にやること

自分の事業計画書(または直近の資金繰り表)を開き、「元金の返済を無理なく始められそうな時期」がいつ頃かを1つの数字で書き出してください。その数字が、融資を申し込む際に希望する据置期間の出発点になります。据置期間を長めに取りたい理由が明確に説明できない場合は、審査する側にも同じ疑問を持たれる可能性があるため、希望を出す前に借入先の窓口(日本政策金融公庫の支店、または取扱金融機関)に目安を相談することをお勧めします。

Sources: - 「スタートアップサポートプラザ」の新設について(2024年4月1日付ニュースリリース、別紙3に拡充前後の融資期間・据置期間を記載)|日本政策金融公庫 - 新規開業・スタートアップ支援資金|日本政策金融公庫 - 民間金融機関での実質無利子・無担保・据置最大5年・保証料減免の融資|J-Net21(中小企業基盤整備機構) - 日本政策金融公庫の据置期間とは?設定する場合の判断基準と留意点を解説&金利と制度 | 資金調達ノート - 日本政策金融公庫の据置期間とは?設定するメリットとデメリットを解説 | 創業融資ガイド - 日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金(新規開業資金)とは?条件・審査・申し込みの流れを解説 | freee - コロナ融資の元金返済時に検討すべき据置期間の延長|資金調達ナビ|弥生株式会社

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