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複数行取引の始め方

この記事の結論
  • 取引銀行が1行だけの場合、その銀行が融資を断れば他に頼れる先がなく資金調達が行き詰まる(株式会社エクステンドの解説より、2026年9月確認)
  • 取引銀行の目安は「メイン・サブ・3位」の3行程度に日本政策金融公庫・商工中金など政府系金融機関を含め5行以内(同、2026年9月確認)
  • 貸し渋りとは、健全な取引先に対して銀行が融資の条件を厳しくするなどして融資に消極的になることを指す(株式会社エクステンドの解説より、2026年9月確認)
  • その一因として、1988年策定のバーゼル合意が1992年に日本の銀行へ適用され、貸出総額に対し自己資本をおおむね8%以上に保つ必要が生じたことが挙げられている(税理士紹介サービス「ミツモア」の解説記事より、2026年9月確認)
  • 複数行取引を始める際は、いきなり大型融資を申し込むのではなく口座開設や小口取引で関係の下地を作ることが効果的とされ、メインバンクには「ほかにも声をかけている」と事実ベースで伝える進め方が紹介されている(ホンマル株式会社の解説より、2026年9月確認)
この記事の内容
  1. 結論:複数行取引は「有利な条件」より「詰まない状態」を作るための備え
  2. 1行依存で何が起きるか:断られた瞬間、次の手がない
  3. 「いつもの銀行」が急に貸してくれなくなる理由
  4. 複数行取引の役割分担:メイン・サブ・3位
  5. 始め方ステップ1:現状把握
  6. 始め方ステップ2:候補選び
  7. 始め方ステップ3:下地作り
  8. 始め方ステップ4:メインバンクへの伝え方
  9. 4ステップの一覧表
  10. やってはいけないこと
  11. 実体験:管理部門を統括した立場から見た「下地作り」の重み
  12. 次にやること

この記事は、今の借入・預金取引が特定の銀行1行だけに偏っている経営者・個人事業主に向けて書いています。 結論から言うと、複数行取引を始める目的は「今より有利な金利を引き出すこと」ではなく、「1行に何かあったときに資金調達が詰まらない状態をあらかじめ作っておくこと」です。始め方は難しくなく、①現状把握、②候補選び、③下地作り、④メインバンクへの伝え方、という4つのステップで進めれば、特別な交渉力がなくても着手できます。

こんな状態ではありませんか
  • 気づけば取引銀行が1行だけになっている。これが危ない状態なのか知りたい
  • 複数行取引を始めたいが、何から手をつければいいか分からない
  • 今のメインバンクに角を立てずに、別の銀行と取引を始める方法を知りたい

結論:複数行取引は「有利な条件」より「詰まない状態」を作るための備え

複数行取引を始める目的は、今の借入の金利を少し下げることではありません。今取引している銀行が1行しかない状態で、その銀行が融資を断った場合、他に頼れる先がなく資金調達が行き詰まってしまいます(株式会社エクステンドの解説より、2026年9月確認)。複数行取引とは、この「詰む可能性」をあらかじめ減らしておくための備えです。始め方は、①今の取引状況を数字で把握する、②規模に合った候補を選ぶ、③口座開設や小口の取引で関係の下地を作る、④今のメインバンクに角を立てずに事情を伝える、という4段階で進めれば十分です。

1行依存で何が起きるか:断られた瞬間、次の手がない

1行だけと取引している状態で最も怖いのは、その銀行が融資を断ったときに次の選択肢がないことです。株式会社エクステンドの解説記事は「一行だけとの取引では、融資を断られた場合どうされますか。融資が受けられなければもう後がありません」と指摘しています(株式会社エクステンド、2026年9月確認)。これは自社の業績が悪化した局面に限った話ではありません。銀行側の融資方針が変わった、担当者が異動した、支店の統廃合があったといった、自社の業績とは関係のない理由でも同じことが起こり得ます。取引銀行が1行しかなければ、この「銀行側の事情」がそのまま自社の資金調達力に直結してしまいます。

「いつもの銀行」が急に貸してくれなくなる理由

「今まで普通に貸してくれていた銀行が、ある時期から急に慎重になる」という現象は、貸し渋り・貸し剥がしと呼ばれます。貸し渋りとは、健全な取引先に対して銀行が融資の条件を厳しくするなどして融資に消極的になることを指します(株式会社エクステンドの解説より、2026年9月確認)。この背景の一つとして、1988年に策定されたバーゼル合意(貸出総額に対し自己資本をおおむね8%以上に保つという国際基準)が1992年に日本の銀行へ適用され、総融資額を抑える必要が生じたことが挙げられています(税理士紹介サービス「ミツモア」の解説記事より、2026年9月確認)。つまり、貸し渋り・貸し剥がしは自社の業績が悪いから起きるとは限らず、銀行側の自己資本比率や不良債権処理の事情で、健全な取引先にまで及ぶことがあるということです。1行しか取引がなければ、この銀行側の事情をそのまま受け止めるしかありません。

複数行取引の役割分担:メイン・サブ・3位

複数行取引といっても、やみくもに口座を増やせばよいわけではありません。株式会社エクステンドの解説では、取引銀行の数は「メイン、サブ、3位の3つ程度が理想」で、日本政策金融公庫や商工中金といった政府系金融機関を含めても5行以内が目安とされています(株式会社エクステンド、2026年9月確認)。メインバンクの作り方や、この目安の詳しい考え方は銀行との付き合い方|小さい会社のメインバンクの作り方で整理しているので、まだメインバンクを意識できていない場合は先にそちらを確認してください。本記事では、すでにメインバンクはあるが2行目・3行目を持っていない状態から、複数行取引を始める手順に絞って説明します。

始め方ステップ1:現状把握

ここが要点

最初にやることは、新しい銀行を探すことではなく、今の取引状況を数字で把握することです。現在の借入残高がどの銀行にどれだけあるか、預金・決済の取引がどこに集中しているかを一覧にしてください。ここが曖昧なままだと、新しい銀行に自社の状況を説明するときにも、今のメインバンクとの関係を整理するときにも困ります。

始め方ステップ2:候補選び

現状を把握したら、サブバンクの候補を選びます。候補は、自社の年商規模に見合った金融機関から選ぶのが基本です。信用金庫・信用組合は規模の小さい会社ほど親身に対応してもらいやすい傾向があるとされ、根拠法や会員資格の違いは信用金庫と銀行の違い|小さい会社はどちらと組むかで整理しています。今のメインバンクがメガバンク・地方銀行であれば信用金庫を、逆に信用金庫1行だけであれば地方銀行や政府系金融機関を候補にするなど、今と違う性質の金融機関を選ぶと役割分担がはっきりします。

始め方ステップ3:下地作り

候補が決まったら、いきなり大きな融資を申し込むのではなく、口座開設や小口の取引で関係の下地を作ることが効果的とされています(ホンマル株式会社の解説より、2026年9月確認)。具体的には、口座を開設して決済の一部をその銀行に流す、当座貸越・借入枠という備えのような使わなくても持てる枠を申し込む、といった小さな取引から始め、決算のたびに試算表を提出する関係を作っておくと、実際に融資が必要になったときに一から状況を説明する手間が省けます。

始め方ステップ4:メインバンクへの伝え方

新しい銀行と取引を始めることを、今のメインバンクに隠す必要はありません。ホンマル株式会社の解説記事では、複数の金融機関に融資を打診する際、メインバンクに対しては「ほかにも声をかけている」と事実ベースで伝える方針が紹介されています(同、2026年9月確認)。資金調達の間口を広げたいという実務上の理由を素直に伝えれば、多くの場合は角が立ちません。逆に、隠れて別の銀行と関係を作っていることが後から分かった方が、メインバンクとの信頼関係を損ないやすいと考えられます。

4ステップの一覧表

ステップ やること 注意点
① 現状把握 借入残高・預金取引の集中先を一覧にする ここを飛ばして候補探しから始めない
② 候補選び 年商規模に合い、今と性質の違う金融機関を選ぶ 大きさだけで選ばない
③ 下地作り 口座開設・小口取引・当座貸越枠から始める いきなり大型融資を申し込まない
④ 伝え方 メインバンクに事実ベースで伝える 隠して後から分かる方が信頼を損ねる

やってはいけないこと

複数の候補に同時に大型の融資を申し込み、どの銀行にも「本気度」が伝わらない状態にすることは避けてください。下地作りの段階を飛ばして、いきなり複数行に同時に大きな金額を打診すると、どの銀行からも「他行頼み」に見えてしまい、かえって心証を悪くすることがあります。複数行取引は、時間をかけて関係を積み上げる前提の備えであり、資金繰りが厳しくなってから慌てて始めるものではありません。

実体験:管理部門を統括した立場から見た「下地作り」の重み

私の場合

正直に書きます。私自身が経営者として複数行取引を1から始めた経験はありません。前職では執行役員として管理部門を統括する立場にいたため、この記事は「自分で新しい銀行を開拓した」経験ではなく、複数の金融機関との関係を維持・調整する側で見てきた事実に基づいています。

その立場で感じていたのは、普段から試算表や資料を出す関係ができている銀行ほど、いざというときの動きが速いということでした。逆に、口座はあっても取引の実態が薄い銀行には、いざ相談しても一から説明し直す必要があり、時間がかかりました。複数行取引の価値は、口座の数そのものではなく、事前にどれだけ「下地」を作れているかで決まるという実感があります。

次にやること

まず、今の借入残高と預金取引がどの銀行にどれだけ集中しているかを一覧にしてください。 取引銀行が1行だけであれば、自社の年商規模に見合い、今と性質の違う金融機関(信用金庫・地方銀行・政府系金融機関など)を1つ候補として選び、口座開設か小口の取引から声をかけてみることをお勧めします。


※本記事は2026年9月時点の調査に基づく情報整理です。複数行取引の目安・進め方は、事業再生コンサル会社・融資支援会社の解説記事に基づく一般的な考え方であり、全ての金融機関・全ての会社に共通する公式基準ではありません。個別の資金調達の判断については、顧問税理士・取引金融機関にご自身でご確認ください。

出典 - 取引銀行は何行が適切?中小企業のメイン・サブバンクの使い分けと銀行数の決め方|株式会社エクステンド https://www.extend-ma.co.jp/g20230802/(2026年9月7日確認) - 銀行の「貸し渋り」「貸し剥がし」を経営者がそのまま受け入れてしまった!|株式会社エクステンド https://www.extend-ma.co.jp/problem/financial_02/(2026年9月7日確認) - 【税理士監修】銀行からの貸し剥がしと貸し渋り 今からできる対策は?|ミツモア https://meetsmore.com/services/tax-accountant/media/47881(2026年9月7日確認) - 複数銀行に同時打診して好条件を引き出す!事業性融資の攻略法と失敗回避ポイント|ホンマル株式会社 https://www.honmaru.jp/multi-bank-approach-strategy/(2026年9月7日確認)

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執行役員として6年、会社の管理部門を統括する立場にいました。資金繰りの意思決定を経営の側から見てきた経験をもとに書いています。このサイトで紹介するのは手数料の上限を公式に明記している業者だけです。「審査なし」「誰でも通る」を売りにする業者は、載せません。

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